第4話 闇の帝王
『ピロリ~ピロリ~』
凛子のスマホーの着信音が
鳴った。
誰からだろう?
あっ、石田さんからだ。
『凛子さん、初めてラインします。なんだか改めてラインで、お手紙を書く感じなので
緊張しています。』
凛子は石田さんからのラインを読んで、またクスッと笑った。石田さんってなんか
可愛いんだよなぁ~。
初々しいっていうかぁ~。
たかがこれだけの内容なのに、凛子にとっては、とってもほのぼのした気持ちになり、癒しなのだ。
さぁ~てどうお返事しようかな?
『石田さん、メッセージありがとうございます。確かに会社でたまにお話するのとは
違って文面でのやり取りって
新鮮ですよね。
ご飯は食べられましたか?』
『ピロリ~ピロリ~』
石田のスマホーの着信音が
鳴った。
あっ、凛子さんからだ。なんか嬉しいなぁ。ドキドキする…。
そんなやり取りが二人の
日課になって来てた頃…。
ある夜、石田さんから来たラインから、いつも楽しみにしてた凛子の表情が、こわばって堅くなって来ている。
それは石田さんが最近は、この世は絶望的だとか、世の中の人みんな不幸に成ればいいとか、僕は消えたいとか…。
まるで闇の帝王みたいな石田さんだった。
凛子なりには元気付けたいと
色々、書いては見るが…あまりにも石田さんの負のメッセージが凄まじい。
ある時なんか…僕なんて居なくなればいいんだ…。
ってメッセージが来た時は、
いても立っても居られない凛子だった。
なので早めに職場に行って、石田さんの顔を見なきゃ、
落ち着かないわってソワソワしていた。
石田さんを見かけたので、凛子は声をかけた。
『石田さん、おはようございます。大丈夫ですか?』
石田さんはきょとんとした顔をして、
『大丈夫って何がですか?』と言った。
凛子は
『昨日、ラインで荒れていたから…』って言うと…
石田さんは
『あーあの時はそうでしたが 今は大丈夫です。本当に居なくなりたい人は、人には言わないですから。』とサラっと言ってきた。
凛子はなんだか物凄く腹が立ってきて、
『わかりました。
大丈夫なようで安心しました。今度からそのようなメッセージが来ても、今だけそうなのねーって、聞き流せるようにします。』
そういうと凛子は足早にその場を去った。
その日から凛子自身、石田さんとラインをしたい気持ちが減ってきた。
石田さんからも来なくなった。
それから二週間ほど経った頃、石田さんが凛子の仕事場の倉庫にやってきた。
『山川さん、おはようございます。』
凛子も普通に
『石田さん、おはようございます。』
石田はあの日以来…凛子にどう話しかけようか?いつも考えていた。
本当は物凄く、凛子が心配してくれたことが、嬉しかったのに、なんかかっこ悪い自分を感じて、突っぱねた言い方をしてしまった。
仲直りがしたい…。
凛子もまたつい腹がってしまい、強めの言葉を言ってしまった事を、気にしていた。
仲直りがしたい…。
そんな時、石田が凛子にいきなり…『第四の扉』の話をし始めた。
凛子には何のことなのか?
さっぱりわからなくて、とにかく石田さんの話を、じっくり聞くことにした。
石田さんには段階の扉があるみたいで、その中でも
『第四の扉』というのは、なかなか、誰にかれに開けることが出来ないらしくて、凛子さんも開けることは不可能って言ってきた。
凛子は自分がチャレンジをしてもいない事を、相手の物差しで勝手に無理だからとか、
不可能だからとか、決めつけられるのが物凄く嫌だったのだ。
『見てなさい!!
わたしがその第四の扉ってやつを必ず開けてあげるわ!!』って心の中で
決意表明をしたのだった。
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