第2話
あれからどのくらいの時間がたったのだろうか
二人は海辺で倒れていた
大怪我をしている二人に近くの住民が救急車を呼んだ
(救急車の音がフェードアウトしていく)
そしてアスカが昏睡状態から目を覚ました
見知らぬ病院のベッドの上、体中のあちこちに包帯を巻かれ点滴をしている最中の状態の自分の姿に
アスカ
「あ、あれ?あたし何で病院?確か赤い水、赤い空」
病室の天井を見ながらさっきまでの出来事を思い出していた
アスカ
「あ、そういえば」
シンジの存在の事に気付きすぐさま寝たままの状態で首だけを左右しながらシンジを探す
アスカ
「あれ?シンジ?どこ?居ない?」
すると一人の医者が部屋に入ってきた
目を開けているアスカの姿を見て
医者
『おおお、良かったようやく意識が戻ったようじゃな』
アスカ
「え?意識?戻った?」
医者
『どうやら峠は越えたようじゃな、後は体の回復を待つだけじゃ』
アスカを心配げに覗き込みながら勝手に喋り出す
医者
『君達はもう死ぬ寸前だったんじゃぞ、後少し遅かったら完全に死んでいた、君は約2週間近く眠ったままじゃったから、ま、ようやく目が覚めた事じゃし、ゆっくりと体を回復させる事じゃな』
医者はそう言い残し病室から出て行った
アスカ
「え!じゃあ、あたしが見てた幻想的な世界は夢だったの?あれは」
しかしその答えはすぐに出た
アスカ
「あ!目が、目がないわ!やっぱり夢なんかじゃない、でも一体」
希望と絶望の考えを繰り返していくうちにまた眠り込んでしまった
アスカ夢の中(幼き日の思い出)
その夢の中で微かな記憶(幼少の頃)の中にいる女の子に会うが顔はみえない、いや覚えていないが後々この夢はアスカの真実へと繋がっていく事になるとは全く知る由もなかった
一方その頃シンジは・・・
生死の境を彷徨いながら昔の自分と向き合いながら自分自身に自問自答を繰り返していた
現実の世界ではドアに大きく貼られた「面会謝絶」の部屋の向こう側で、医療機器の音だけが静かにその部屋の時間を感じさせていた
夢の中で
シンジ
『あ、あれ?ここは?』
幼き日の自分が今の自分に答えた
シンジ(幼)
『ここは僕の世界、そして他の誰も入れない聖なる僕の領域』
シンジ
『君は誰?』
シンジ(幼)
『僕は君だよ、昔の僕』
シンジ
『え?ここは?天国?地獄?僕は今、一体?』
シンジ(幼)
『夢じゃないよ、僕が望んだ世界』
シンジ
『え、でもだって確か、あ!そうだ!アスカ、アスカが』
すると
アスカ
『シンジ、何悩んでるの?あたしならココに居るじゃない』
シンジ
『あ、アスカ、どうして?なんだそこに居たんだ』
すると更に
レイ
『碇君、早くこっちに来て』
シンジ
『あ、綾波、え!どうして?』
知らず知らずゆっくりとアスカとレイに向かって歩き出すシンジだが、シンジの目の前に幼き日のシンジが両手を左右に広げシンジの目の前で通せんぼをした
シンジ(幼)
『だめ、こっちに行ったら』
シンジ
『な、何でダメなんだよ、アスカも綾波もあっちに居るじゃないか』
シンジ(幼)
『あっちにいっちゃダメだよ、あっちに行ったらもう戻れないよ』
シンジ
『いいよ、もう、一体何が何なのか分からない、みんなと一緒のとこがいい』
突然目の前に現れたゲンドウが
ゲンドウ
『シンジ、そっちはお前がまだ行くべき所ではない、お前は私の遺志を継ぐのだ』
驚きのあまりその場で尻餅をつき、そしてすぐ立ち上がり怒りを表に出しながら
シンジ
『そうだ、父さん、父さんの意志って、何を、何をすればいいのさ、いつもいつも自分勝手に僕に命令だけを押し付けて』
ゲンドウに向かって言葉を投げかけた
シンジ
『父さんは自分勝手すぎるんだ』
しかし目の前からゲンドウは消えていた
そしてまた頭に激痛が走る
シンジ
『うわあぁぁぁ、ああぁぁぁ、ぐあぁぁぁ』
両手で頭を押さえながらその場でのた打ち回るシンジ
現実の世界では機器に心拍数が乱れる数値が
しかしその時の部屋には誰の姿もなくベッドの上で苦しむ表情のシンジだけが居た
そしてしばらく時間が経ち・・・
アスカ回復(制服姿だがまだ包帯が巻かれている状態)
シンジ回復基調(峠を越し面会謝絶の札は外され点滴がされている)
面会謝絶が解かれシンジの状態を確認するアスカ
最初冷めた表情を崩さずシンジを見下す感じで枕元まで行くが、現実の状況を目の当たりにし表情が徐々に崩れ始めていく
顔を真下に向け正面からは髪の毛しか見えない状態で
シンジが眠る枕元で、アスカは小声で
アスカ
『あんた、早く目覚ましなさいよ、何寝てんのよ、あたしを、あたしをもう一人に、しないでよ・・・』
アスカは声を殺して静かに泣いた・・・・
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