第43話
そして月日が流れ、彩菜が8歳の誕生日だった。
俺は彩菜と一緒に月を眺めていた。彩菜はお母さん似で、真菜によく似てるが、僕と似てるところもある。それは月を眺めているとこういうのだ。兄貴がいると。それを聞いて兄貴は「俺は死んでねえぞ」というと、俺が「兄貴。誤解だって。それは月が満月だからだよ。満たすとかいて満でしょ。兄貴といると満たされるって意味だからね」という。その言葉に栞さんと真菜がクスクスと笑ってる。何が似てるかといえば考え方だ。そして隼人が「彩菜、誕生日おめでとう」といいプレゼントを持ってきた。「隼にい、プレゼントはいいから、早く結婚して子供作ってよ。そうしたら、彩菜は甥っ子か姪っ子と兄弟みたいに遊べるのに」という。隼人は「彩斗兄ちゃんいいから怒らないで」というと「そっか。彩菜は弟か妹がほしいのか」というと、「うちの花凜ね。できちゃったんだよね」というと「隼人の所もとうとうなの」という栞さん。「うん。もう安定期」というと、「彩菜も姉ちゃんになるな」という。すると「ごめんなさい。ママパパ」と謝ってきた。すると隼人が「兄ちゃんたちの事情について話したんだ」という。「ああーなるほど」というと俺は彩菜を抱きしめた。「パパはママに痛い思いをさせてまで彩菜を作った。それはパパは病気が原因でできないんだ。ママに痛い思いをさせてまで子供を作ろうとはもう思わないんだ。だからごめんな。お前の兄弟を作ってやることが出来なくて」というと、「うん。知ってたよ」という。「隼にいが花凜ちゃんと話し合って子供作るから待っててね」っていってくれて、花凜さんも「私、彩菜見てたら作りたくて仕方ない、隼人と私の子供が生まれたらお姉ちゃんになって」といったそうだ。まもなく増える家族に兄貴は「うるさくなる」というと「違うでしょう。にぎやかになるでしょ」という栞さん。夜空には満月が照らされていた。
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