第40話
病院で検査をした。原因は僕にあった。僕の病気に問題があったみたいで、真菜は何か方法があるんなら試してみたいというが、医師は「子供を作ろうというのなら、奥さんがすごく痛い思いをするからおすすめはしません」というのだ。真菜は医師にこう言った。「私はどうなってもいいです。でも、主人は病気になっていろんなことをあきらめてきたというのに、希望を失っていないんです。そして、こんなに私の事を思ってくれてるんです。私は主人がお父さんになってほしいと思っています。私には悲しい過去もあります。だけど子供だけはほしい」というのだ。医師は「そこまでご主人を愛していらっしゃるんですね。私たちにできることなら協力します。これは排卵誘発剤という薬です。これを打てば妊娠しやすい体にはなりますが、100パーセント妊娠するという確証はありません。でも妊娠したいなら試してみてください」という医師に「ありがとうございます」とお礼をいった。
帰ってさっそく真菜は誘発剤を打った。かなりの痛さに声をあげた真菜に「ごめん」というと「私がわがままなのかもしれない。だから神様は試練を与えたの。痛いけど、これぐらいの痛みはあなたが今までの努力にしてみたら全然平気。それよりも彩斗がほしいの」といわれた俺は真菜を優しく抱く俺は、その後真菜の体を労るようにマッサージをしてる。
そして、ある日の事だった。「真菜、どうしたの」と聞くと、「なんか最近眠たいの」という真菜。もしかしてと思った俺は、真菜をトイレに連れて行って妊娠検査薬を渡した。その結果は陽性で、俺と真菜はその場で喜んだ。そして病院に行くと検査をしてもらった。「おめでとう。妊娠してます。よく頑張りましたね」という医師の言葉がうれしかった。しばらくたつと真菜はおなかが出てきた。彼女はおなかを優しくさすっている。すると、「ただいま」と帰ってきた僕の声。「おかえり」というと、真菜が「またけってる。彩斗の声に反応してるのね。この子は多分、彩斗が大好きなのよ」という。そして彼女が臨月を迎えたある日、兄貴が一人でやってきたのだ。どうしたんだろうと思って聞いたら、兄貴が機嫌が悪かったのだ。でも真菜のお腹をみた途端、少し気持ちが和らいだらしくて穏やかになってきた。そして、「兄貴、どうしたの」って聞くとなにやら栞さんとけんかしたらしいのだ。「どうして喧嘩をしたんですか」と真菜が聞くと、栞が俺の大好物のまんじゅうを食ったというので、真菜と僕は笑ってしまった。「そんなことで喧嘩って」という俺に、「彩斗はお前と真菜ちゃんは喧嘩しないだろうな、お前が穏やかだし真菜ちゃんが折れてくれそうだし」というと、「真菜と僕も喧嘩するよ。この前なんか子に着せる服の事で意見が割れて喧嘩になったよ。でも最終的には僕が折れるよ」というと、真菜もこくりとうなづいた。真菜は強い嫁なんだよねと思う。でも僕にはいまだに治らない癖がある。それは食事を食べるときにスプーンやフォークを持つときの癖。でも真菜は僕の癖を治そうとしたりとかはしない。でも「こうやって持つともちやすいよ」と毎回言ってくれる、僕にとってはそういう真菜がいいのかもしれないな。そう真菜がいないと僕はこうやって何もできないだろうなと思うこともしばしばだよ。真菜、これからもよろしくねと思ってると栞さんが来たので、「満の馬鹿。真菜ちゃんはおなかに赤ちゃんがいるんだから気を遣わせたらだめだよ」という栞さんをよそに真菜はソファに座ってくつろいでた。すると、「彩斗、ごめん、こんなのが兄貴だって思うと恥ずかしいでしょ。話聞いた。迷惑だってほら帰るよ」というと二人は帰って行った。あははと二人で笑った。「兄貴は完全に栞さんの尻にひかれてるもん」という真菜に対して僕はうなづいた。
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