第35話

「昴さん」と呼ぶと、俺は昴さんに話を聞いていた。

「佐東先生、ありがとうございます。俺は茂樹と辰のふたりに暴行をして一人死なせてしまったんです。もうアルコールを断ちたいとは思うんですが、呑んでしまって。」というのだった。

「そうか。やめたいんですね。昴さんは」というと「ここでの治療、終わったら俺を警察に連れて行ってください」というスバルさん。

「はい、わかりました」というと、昴さんはこういった。

「俺、アルコール依存症になってしまったのはなんででしょうか」という。「そうですね。抱え込みすぎたのかもしれないですね。昴さんは、そこにあったのがたまたまアルコールだったってことなんです」というと、「そっか。でも弟に手を出してしまって、その上殺してしまうなんてダメな兄貴だよ」といい、自分をせめていたので、「お酒に人生を狂わされたんですね。親父もそうなんです。でも親父は自分の意志でやめたんですよ。あなたはまだ若い。だからまずは自分のために頑張ってみたらいいですよ」という。「俺頑張ります。自分のためにも」というと「俺が警察に行く日なんですけど、秀樹には内緒にしておいてください」というので、「わかりました」と伝えた。

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