捜査
第7話
SIDEチアキ
あったこれだわ。私が見たのは行方不明者名簿だった。
警察は希望の家だといえば協力する仕組みなのだ。私は栞という名前を探す。
警察の大河さんが栞ってもしかしてといい、佐々木栞当時10歳と書いてある。
この子のお父さんとお母さんはと聞くと、大河さんが悲しそうな顔になる。そしてある事実を突きつけられた。
佐々木さんはちょうど一年前に過労が原因で亡くなったんだ。俺が担当してたんだけどご夫婦が探し回ってたのは事実だ。
本当に愛されてる子だったんだよ。俺がいつもご自宅に行くと栞ちゃんの好物をいつ帰ってもいいように栞ちゃんの部屋に置いてるんだよねという。
すみません、栞ちゃんの好物ってなんですかと聞くと、あの子はどら焼きが好きだったといっていたな。いなくなる当日も家に帰ってきたら食べようとしてたらしくて毎日おやつがどら焼きでも飽きないって言ってたそうだよ。いまどき珍しいよね。どら焼が好きなんて。そこの和菓子屋のどら焼きだよ。しかも餡子の種類が白い餡子なんだよね。という。そっかといい、栞ちゃんに報告書を書いた私は、和菓子屋に行きどら焼きを頼む。そこの主人も教えてくれた。ああー佐々木さんとこの娘さんだよね。栞ちゃんはドラ猫が好きだったなあ。ドラって付けた猫を飼ってたんだよという。その猫は白い猫でね。ドラって何でつけたのって聞いたら、私、ここのどら焼き好きだもん。白い猫と餡子の色がさ重なってたんだよ。その猫も栞ちゃんが行方がわからなくなって一年後に亡くなったんだけどね。かわいそうにね。病気だったんだというご主人はもし栞ちゃんがいるならすごく美人でかわいいだろうなといい、ご主人が穏やかに話すと、ありがとうございますといい、私は帰って報告書を仕上げて希望の家に持っていった。
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