第83話

高い日本酒は、すうすう入る。


不純物が少ない分、飲みやすいのだ!


私は、上司の目を盗んで、ここぞとばかりに高いお酒を呑みまくった!


こう言う所で貧乏性が出てしまう…………。


そして、周りを見渡した。


普段、子会社で働いている私は特に、グループ会社の人達との交流は無いに等しい。


ちなみに私は、アクション俳優時代から大酒呑みで、呑む量も半端ではないし、おまけに強い!


お酒の強さは、基本的には負けた事がなかった。


記憶を無くした事もないし、途中で寝たり帰ったりした事もない。


そんな酒豪の私でも一目置いた人物がいた!


おそらくエリアの違う子会社の人でしょう。


呑みっぷりが凄い!


あれだけ呑んでも顔色ひとつ変えずに平然としている。


私は、自分より強い人と出会った事がなかったのに。


上には上がいる。


しかも、女性ですからね!


私は、悔しいのでその女性に近づき、あろうことか勝負に出た!


高級シャンパンの一気飲みの応酬!


そしてーーーー!


負けた…………。


人生初の黒星である。


私は、リベンジをする為に連絡先を聞いた。


望むところだ! 返り討ちにしてやると言わんばかりに、余裕の笑みを浮かべながら教えてくれた。


数日後、居酒屋の飲み放題を利用して本当ににリベンジ戦を挑んだ!


シャンパンは、呑み慣れていなかったのでと苦し紛れの言い訳をして、今回はビールと焼酎で勝負をした!


結果はーーーー!


惨敗…………。


またやる?


と聞かれたが、もう勝てる気がしないので挑戦するのは遠慮する事にした。


勝負をキッカケに、ちょくちょく呑むようになり、いつの間にか恋仲になっていた。


お互い気を遣わない関係が、とても居心地が良かった。


二人とも三十路を超えているにも関わらず、特に結婚を意識する事もなく、良きパートナーと言う関係で充分満足だった。


そんな楽な関係で十年が経ったーーーー。


付き合って十年を記念して私の誕生日に、海外の映画をモチーフにしたテーマパークに泊まり掛けで遊びに行った。


お互い酒豪なのでビールを片手に、アトラクションを一つに付き一杯呑んで楽しんだ。


結局、何杯呑んだのか分からない位呑んだ。


テーマパークで遊んだ後、待ってましたとばかりに夜の呑み屋街に繰り出した!


一軒、二軒、三軒目あたりで、彼女の呑みのペースが落ちてきた。


私は、もしかしたら勝てるかもと思い十年ぶりに勝負を挑んだ!


そして、初勝利を納めた!!!


今日の彼女は調子が悪いようだった。


セコい勝ち方だが、勝ちは勝ち!


だってずっと勝てなかったんだもん。


三泊四日のテーマパーク旅行から帰ってきた後も、彼女の体調は優れない。


もうお互い四十路を過ぎているので、体力的にも無理は出来ない年齢になっているから、旅疲れが出たのかな位に思っていた。


彼女は、冗談で更年期かなと言って、とりあえず病院で診て貰う事にした。


すると、病院にいる彼女から連絡がきた!


「ビンゴだよ!」


彼女は電話口で、そう叫んできた!


私は意味が分からなかった。


「何が? ビンゴなの?」


私は問いかけた。


「赤ちゃんが出来たみたいなの!」


「えっ! 本当に?!」


「うん!」


「おめでとう!」


「ありがとう!」


付き合って十年、まさかの思わぬ授かりものだった!


お互い喜びに満ち溢れ感動に浸った!!!

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る