第81話
そして、迎えた最終日。
泣いても笑っても、今日で私のエンターテイメント人生も終わる。
長いようで短かった…………。
普通の仕事をしていたら、とてもじゃないが体験出来なかった事ばかり、貴重な経験を積めた事に感謝!
今までのアクション俳優生活を振り返ると、大変な事も沢山あったけど、総合すると楽しかった事の方が遥かに上回っている。
最後に選んだショーの舞台も今までにない超ハマり役だし。
微塵の悔いもない。
目を閉じると、走馬灯のように目蓋の裏側に過去の映像が流れ写し出される。
(………………)
懐かしさに浸るのもこれ位にしておこう。
さぁ! 気持ちを切り替えて最後の舞台に出陣じゃ!
舞台袖から客席の様子を伺うと、前例はびっしりと知り合いの方々や仲間達で埋め尽くされていた。
皆、忙しい中、私の最後の舞台を観にきてくれたんだ。
本当にありがとう!!!
これで、心置きなくアクション俳優を退けます!
そうして、大歓声と大爆笑と拍手喝采の中、無事に幕を閉じる事が出来た!
前例が率先してスタンディングオベーションをしてくれたので、感化された他のお客様も皆さん立ち上がってくれて、最後は客席が一丸となってのーーーー。
スタンディングオベーション!!!
最高に気持ち良かったです!
嬉し過ぎて調子に乗った私は、もう一度幕を上げてーーーー!
上手から下手に向かって最後のアクロバットを披露した!
感情が高ぶり過ぎ宙返りにひねりを利かせ過ぎて、勢い余って尻餅をついてしまった…………。
客席は、スタンディングオベーションのまま大爆笑の渦に包まれた!
最後の最後におっちょこちょいの本領を発揮してしまった。
ラストは、リアルおっちょこちょいで無事?
に幕を下ろしたのでした。
やりきった!!!
燃え尽き症候群のようになってしまった自分がいた。
ショーが終わった後、皆が盛大にお疲れ様会を開いてくれた!
それぞれの仲間達と昔話しに花が咲き、一次会から三次会まで続き久しぶりにオールナイトで呑み明かした!
そして、いつの日かまた会う約束をして皆を見送った。
彼女も今まで両親に自由にさせて貰った代わりに、これからは実家に戻って親孝行をしたいと考えており、円満に各々の道を歩む事にした。
まあ、彼女の本心は、アクション俳優である私が好きだったようなので、引退した私には魅力を感じなくなったのでしょう。
何はともあれ、家宝の“アレ”を七つ集めて目標は達成したので、暫くゆっくりしたい…………。
これからの事は、それから考えよう。
ちなみに、無理に家宝の謎を解く必要もないかなぁと思うようになり、苦労して集めた“七つのもの”をアクション俳優期間の良い思い出として、しっかり梱包して大切に保管する事にした。
ここ数年、アクション俳優として生き急ぐように突っ走って来たので、人生のスピードを調節する意味を込めてスローペースに切り替えます。
従って、一日一日を大事に噛みしめながらーーーー。
ゆっくりとゆっくりと前に進んで行きます!
ゆっくり………… ゆっくり………… ゆっくりと…………。
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