第80話

今度は、流石の彼女も為す術がないのか、落ち込んでいる私に気を使って話しかけて来ない。


とそこへ、ベジタブルランド時代にお世話になった初代都市伝説のダンサー (現在は、実家の家業である神社を継いで神主) から連絡が来た!


用件を聞いてみると、私が探している“アレ”を売って欲しいと言う人物が訪ねて来たと言うのだ!


初代都市伝説のダンサーは、親友に譲ったと伝えたら、その人物は凄く残念そうにしていたと言うのだ。


ちなみに、初代都市伝説のダンサーは妙に気になったので、その人物の名前を書き留めていたらしい。


そして、その名前が気になり、私に連絡をくれたと言う訳なのです。


私は、その人物の名前を聞いて驚愕した!


何故だ! 何故だ! 何故なんだ! 


兄貴っ!!!


私は、即座に兄貴に連絡を取り、呼び寄せて事の真相を追及した!


「兄貴! どうして家宝の事を知っているんだ?」


「親父から聞いたんだよ」


「親父って居場所わかったの?」


「あぁ分かったよ、都会の雀荘に住み込みで転がり込んでいたよ」


「どうやって見つけたの?」


「探偵に頼んだらすぐに見つけてくれたよ」


「それで家宝の事は?」


「親父に結婚の報告をしたら、ついでに教えてくれたよ」


「えっ! どう言う事?」


「お前は知らないのか?」


「知らないも何も、その謎を解く為に七つ集めていたんだから」


「アハハハハハッ!」


大笑いをする兄貴。


「何がそんなに可笑しいんだよ!」


「悪い悪い、でも俺にはもう必要ないから」


そう言って残りの“アレ”を二つ差し出してきた!


「必要ないってどう言う事?」


「離婚したから必要ないの」


「えぇぇっ! いつ離婚したの?」


「昨日だよ」


「ありえない………… しかも昨日って…………」


「じゃあ、もういいだろ! 離婚の後始末とか色々あって忙しいから! 元気でな!」


「ちょちょっちょっと待ってくれよっ!」


兄貴は肝心な家宝の謎を残したまま、足早に去って行った。


六つ目、七つ目、同時にコンプリート!!!


遂に七つ集めたが、これが一体何を意味するのか全くもって分からない…………。


兄貴に連絡して確かめようとしても、留守番電話になって通じない。


兎に角、目標は達成した!


もうテーマパークで働く理由もなくなる。


幾度となく固い床や地面でアクロバットをしてきた事が祟って、いつの間にかガタがきていて気づいたら、身体はもうボロボロ…………。


今期のショーで最後にしようと決めた。


私は、今までのテーマパークでお世話になった方々や応援してくれた仲間達に家宝探しの目標を達成出来た事を報告した。


そして、アクション俳優を引退する事も…………。


更に最後の舞台になる日時を告げて、良かったら足を運んで下さいと伝えた。


家宝の謎は、全てを終えた後にゆっくり解く事にしよう…………。

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