第76話
ある日、先輩の知り合いの殺陣師の方が海外の二つの国で忍者ショーをする為、動けるアクション俳優を探していると言う事でオーディションを受ける事になった。
オーディションでは、殺陣の基本から応用まで細かく審査をされ、得意のアクロバットも披露したが、私的には手応えを感じる事は出来なかったが、合格の連絡を受けた。
しかし、合格して嬉しかったのですが、海外での滞在期間が思っていたよりも長かったので、残念ながら断る事になってしまった。
でも、そのオーディションに合格出来た事で、私の実力を認めてくれた先輩が芸能事務所を紹介してくれた。
私は、融通の利くお祭りワンダーランドでの契約を利用して、その芸能事務所に所属させて貰う事になった。
そして、初めて貰った仕事がドラマの撮影でした。
私は、女優さんを拉致してアジトに連れ込む不良Aの役でした。
今までの経験上、殺陣はアクション俳優同士でしかやった事がなかったので、女優さんに怪我をさせないように凄く気を使ったのを覚えている。
しかも、その女優さんは同世代なのですが、ずっとテレビで観ていた方なので緊張も半端ではなかった。
他にも有名な俳優さんが沢山出演されているし。
そんな中で、ドラマのエンディングテロップで自分の名前を発見した時は素直に嬉しかった。
このドラマの仕事を皮切りに、コンスタントに映画やVシネマの仕事も貰えるようになりました。
しかし、アクション俳優なので主に殺陣のシーンでの殺られ役専門の為、台詞がない限り何処に出演していたのか視聴者には分かり辛い…………。
だから、この時に良く言われたのがーーーー。
「エンディングテロップに名前が掲載されていたけど、何処に出演していたの?」
でした。
虚しいと言えば虚しいけど、そう言うポジションの仕事なのです。
アクションを得意とする俳優さんは、お芝居も殺陣も台詞も出来るがーーーー。
スタントマンは、殺陣の芝居は出来ても台詞や日常生活の仕草のお芝居が出来ないのです。
早い話しが、訓練をしている事は出来るが、訓練をしていない事は出来ないのです。
当たり前の話しです。
ごく稀に、訓練をしなくても器用に何でもこなせる方もいますがね。
従って、アクション俳優やスタントマンの事務所に来る仕事は、殺陣絡みの仕事になる訳なのです。
ドラマや映画でメインキャストとして出演したければ、俳優の事務所に入りなさいと言う事です。
ちなみに私は、やっぱり映像のアクション俳優の仕事より、ショーでのアクション俳優の仕事でお客様の直の反応や歓声や拍手を貰う方が好きですね!
せっかく先輩に紹介して貰った事務所ですが、近々辞めようと思う次第です…………。
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