第72話
そして、商業舞台のリハーサルが始まった。
私は、テレビや映画で観た事のある出演者の方々と接して毎日ドキドキしていた。
美男美女が揃っていてオーラがある。
流石は芸能人!
リハーサルを観ているだけでも目の保養になり、楽しくてしょうがない。
何と言っても華がある!
正直リハーサルをしに来ていると言うより、むしろ芸能人に会いに来てると言う感覚でした。
毎日が夢のような時間でした。
更に、私が演じる南蛮渡来の大道芸人が、舞台の上手から下手に向かって連続バク転をして登場した時に、出演者の方々がどよめいて拍手をしてくれたのが嬉しかった!
やっぱり、私の武器はアクロバットだ!
と確信をした瞬間でした。
しかし、本番を行う劇場の舞台は八百屋舞台と呼ばれステージ奥から手前にかけて傾斜がついている為、バク転に加速がつくので気をつけなければならない。
気を抜くと、そのまま客席に突っ込んでしまう恐れがあるからなのだ。
そして、一ヶ月に渡る夢のようなリハーサルも順調に進み、本番を迎えた!
出演者の方々の楽屋の暖簾が、個性豊かなものが多いのにもビックリしたが、それ以上に舞台鑑賞を終えた後に訪ねてくる芸能人の豪華さにも驚かされた!
何て華やかな世界なんだ!
私の大部屋楽屋にもベジタブルランド時代の仲間達が、お土産を持って挨拶に来てくれた。
嬉しいのだが結局のところ、お目当ては豪華な出演者なのが見え見えだった。
案の定、お目当ての出演者のサインをおねだりされた…………。
遠路遥々観に来てくれたのだから………… まぁ、いいか。
そして、舞台終わりの帰り際にベジタブルランド時代の女性ダンサーの一人が時間があったら、ちょっと飲まない?
と誘ってきた。
私は、ベジタブルランド時代に少し好意を寄せていた女性ダンサーだったので、二つ返事でオッケーをした!
居酒屋に入り席に着いた途端、ワクワクしてきた。
成長した私の姿や芸能人の方々との共演に感動してくれて誘ってくれたのかな?
もしくは、これを機に付き合う事になったりして!
など色々妄想が膨らんだ。
乾杯して、昔話に花が咲き楽しい時間を刻んでいたらーーーー。
突然、説明口調になり地球の環境に易しい商品だとか言い出してパンフレットを見せてきた。
そして、商品を売り付けるだけではなく、一緒にやらないかと誘ってきた。
それから、自分の下を作れば作るほど儲かると。
私は、悟った…………。
もう、いい加減にしてくれ! またかよ!
もっともらしい御託を並べて偽善ぽく言っているけど、それって“ねずみ講”だからね!
いやーしかし、この類いのものが、やたらと寄ってくる…………。
私に、隙があるからなのか?
私は、この類いの輩達から隙だらけの筋肉バカだと思われているのか?
くそーーーー!!!
好意を持っていただけにショックだった!
私は、即座に断り、用事を思い出したと言って帰った!
まぁ、逆ナンまがいで誘われて、ホイホイついて行く私にも否がある訳で…………。
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