第五章

第71話

色々悲しい残念な出来事がありましたがーーーー。


ここで私の人生を懸けた家宝探しの旅を終わらせる訳にはいかない!


旅立つ前に、彼女の気持ちを確かめた。


すると、彼女から予想もしなかった言葉が返ってきた。


彼女も前々から語学留学を夢見て頑張っていたようで、私の旅立ちと共に海外へ行く事を決心したと言うのだ!


彼女曰く今までの経験上、遠距離恋愛は上手くいった試しがないので、お互い目標の為に一度別々の道を歩む事にしようと提案された。


そして、私も彼女の意見に賛同した。


もし、二人が赤い糸で結ばれているのなら、また必ず運命的に出逢えるはずだと信じて、お互いロマンチックなメロドラマのような再会を夢見て別れる事にした。


それから、お世話になっているセキュリティワールドの方には、メイン役の私と後輩の二人が抜ける事になって多大な迷惑をかける事になると思ったのだが、丁度演目を変えるタイミングなので、またオーディションで出演者を募集する所から始めると聞いたので安心した。


これで心置きなく五つ目の“アレ”を探す旅に出られる!


よーーし! 気合いを入れ直して出発進行!!!


そして、向かっ先がーーーー。


お祭りをモチーフにしたテーマパークで、その名も“お祭りワンダーランド”!


ここで私は、お祭りマンに扮して大道芸などを披露しながらお客様を楽しませる役割を担うのだ!


ちなみに、オーディションで披露した真空斬りと腹上大根斬りと頭上吹き矢は、そのまま採用された。


実はこのパフォーマンス、お見合いパーティーの司会をしている時にやっていた小ネタなのですが、こんな形で役に立つ時が来るとは。


更に、劇場や野外ステージでパフォーマンスをするのではなく、施設内の好きな場所で好きな時間に好きなタイミングで好きなだけやっても良い事になった。


しかもギャラは、日給で一万円は保証されて、投げ銭は全て貰える契約になった。


しかし、この投げ銭はバカに出来ないのです!


お客様の集まり具合いによって左右されるのですが、一日五回やったとしてバラつきはあるものの、平均すると一万五千円位になるのだ。


従って日給は、だいたい二万五千円前後になる訳なのです。


こんな夢のような契約が出来るとは、何も申し分はないです。


願ったり叶ったりの契約で浮かれていたら、ベジタブルランド時代の先輩から商業舞台に出演しないか?


と連絡がきた。


有名な漫画家さんの原作が舞台化され、これまた有名俳優さんの方々がメインキャストで出演するらしい。


私に依頼られた役は、南蛮渡来の大道芸人だった。


運命のイタズラなのか?


南蛮渡来ではないが、今正にお祭りマンに扮して大道芸をやっている。


しかも、日給制の自由契約の為、休みの融通も利くので舞台出演を引き受ける事にした!


商業舞台なので当然ギャラも出るだろうから。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る