第63話

私は、“笑い”と言うものに対して真剣に真摯的に取り組み勉強しようと思った。


そこで、オーディション雑誌に掲載されていたーーーー。


お笑いセミナーを受講する事にしたのです。


何が凄いって言っても、講師陣のレベルが半端ではなかった事。


現役で尚且つ、第一線で御活躍されている方々ばかりなのです。


放送作家をはじめ、音楽プロデューサー、作詞家、テレビプロデューサー、テレビディレクター、マルチクリエイターなどバラエティーに飛んだ面々でした。


講師の中でも特に印象に残っている方が、作詞家や音楽プロデューサーをされている方でした。


何故なら、プロ意識を叩き込まれ具体的な例を挙げて話しをしてくれたからです。


こう言う具合いにーーーー。


「あなた達は、ここに来ている限り有名芸人と仕事を奪い合わなければならなくなる」


「同じ舞台に立てば有名無名、芸歴やキャリアなどは関係のない事だ」


「では、あなた達に今何が必要なのか?」


「それは選んで貰える“理由”を作る事」


「あなた達をコンビニに陳列された缶コーヒーに例えるとしよう」


「お客様は、どの缶コーヒーを選びますか?」


「単純に値段が安いからや、メーカーと繋がりがあるからや、CMに出演しているタレントが好きだからや、微糖だからなど様々な理由で選んで買って行く」


「だから、あなた達にも選んで貰える理由があれば、仕事は必ずやってくる」


(確かに、アクション俳優の分野で言えば、私の場合は筋肉とアクロバットと言う理由があったからこそ、選んで貰えていたのだろうなぁ)


「ちなみに、最近選んだ新人芸人がいる」


「彼らは、まだまだ荒削りで決して上手くはなかった」


「しかし、発想が面白かった」


「婦人服売場で売られているパンティを擬人化して、その気持ちになってコントを繰り広げていた」


「彼らには深夜番組のレギュラーの仕事を依頼した」


このように、他にも幾つかありましたが実際に具体例を出して、抽象的な言い方は一切せずに、分かりやすく講義して頂けました。


あと、もう一人印象に残っている講師の方は、テレビプロデューサーの方です。


セミナーの受講生が、舞台に立ってネタをする時に緊張してしまうので、どうすれば緊張しないで済むのか教えて下さいと言う質問に対してーーーー。


「舞台に立つ前に自慰行為をしなさい」


と講師は答えた。


その時は皆、爆笑したから洒落で済んだものを今ならコンプライアンス的に完全にアウトでしょう。


まぁ、どこまでがリップサービスなのか分かりませんがね。


ただ、質問した受講生は女性でしたから…………。


そんなこんなで為になる話しから、どうでも良い話し?  まで多種多様の講習を受講出来ました。


一週間に一回の講習を三ヶ月間に渡って受講する全十二回なのですが、受講料もなかなかの金額でしたよ。


これを高いと思うのか、安いと思うのかは、自分次第でしょうね!


果たして、私のお笑いレベルは上がったのでしょうか?


結果は如何に…………。

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