第四章
第61話
ラッキーな事に、ベジタブルランドは六ヶ月ごとの契約更新の為、丁度タイミング良く半年なので更新をしなければいいだけだから、一身上の都合を理由に辞める手続きをする必要がなさそうだ。
それに加え、敷金礼金無しの前家賃のみで住める今のアパートも全国展開しているので、わざわざ寮に入らなくても良さそうだ。
しかも、本業と副業でたんまり稼いだのでお金に余裕も出来た事だし。
では、次なる場所に向かうとしますか!
こうして、四つ目の“アレ”を求めて到着したテーマパークとはーーーー。
保安をモチーフにしたテーマパーク、“セキュリティワールド”でした!
今回は、見切り発車もいいところで、テーマパークの近くのアパートに移り住んだものの、まだオーディションを受けていないのだった。
何故なら、落ちる気が全くしないからだ!
募集要項がアクション俳優とスタントマンだったので。
しかし、やらかしてしまった…………。
世界を股に駆けるベジタブルランドを経験し、調子に乗り驕っていたのでしょうか?
オーディションの前日、余裕をかまして夜更かしに深酒。
結局、目覚まし時計を止めて、二度寝をしてしまう羽目に。
反省…………。
私は、慌ててタクシーを拾い目的地へ向かった。
既に遅刻である。
やっと見えてきたセキュリティワールド!
敷地は、高さ十メートルの鉄柵で囲まれている。
私は、急いでタクシーから降りた!
しまった! 裏側だった。
焦っていたので、何も考えずに降りてしまった…………。
入り口まで数百メートル、もしくは数キロメートルあるかもしれない。
入り口まで回っている時間はない!
私は、高さ十メートルの鉄柵をよじ登った!
そして、中に入ったところでーーーー。
ピッピッピーーーーー!!!
笛の音が響き渡った!
私は、数人の警備員に捕まって、警備室まで連行された。
そして、不法侵入で取り調べを受ける事になった。
私は、オーディションが終わってからにしてくれと
頼んだのだが、聞き入れて貰えず逆に怪しまれ、パンツ一丁にされて身体検査まで受ける事に…………。
そこに、若い警備員が入ってきてーーーー。
「引き継ぎます」
と言って年配の警備員と交代した。
私は、頻りにオーディションを受けに来ただけだ!
とアピールをした。
そして、入り口まで行くのが面倒臭いから登ったのだと言った。
すると、オーディションはもう終わったと、若い警備員が言い出した。
私は、問いかけた。
「えっ! どう言う事ですか?」
「オーディションを受けて来て、今戻ってきたんだけど、僕で最後だったから」
「終わったって………… そんな…………」
ちなみに、若い警備員は警備員をしながら、アクション俳優を目指していて、今回のオーディションの事を知り受けたらしい。
今日のシフトも、オーディションに合わせて午後にして貰ったようだ。
結局、オーディションの主宰者に確認して貰って、私がオーディションを受けにやって来たと言う事実は証明されたのだが、鉄柵を登って侵入したのも事実なので、厳重注意を食らって釈放された。
そんな事より、これからどうすれは良いのやら、計画が大幅に狂ってしまった…………。
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