第60話
無事に、二代目都市伝説のダンサーを襲名した、顔が怖い背の低い先輩から国際電話がかかってきた。
「社長から聞いたけど、お見合いパーティーの司会の評判、相当良いみたいだね!」
「お陰様で、ありがとうございます!」
「手伝って貰って正解だったよ! 俺も鼻が高いよ!」
「いえいえ、こちらこそ都市伝説のダンサーに紹介して、その上結果まで出して頂いたので光栄です!」
「お互い天職に出会えたって事だな!」
「はい! 私もそう思います!」
「ところで、初代の都市伝説のダンサーは、引退して今どうしているのかな?」
「なんでも家の家業を継いで、親孝行をしたいと言っていましたけどね」
「無事に家業を継ぐ事が出来ていれば良いけどね…………」
「今度、お礼がてらに家の方を尋ねてきますよ」
「その時は、宜しく言っておいて!」
「分かりました!」
「じゃあ、また海外から戻ったら連絡するよ」
「はい! 待ってます!」
そう言って国際電話を切った。
私は、個人的に密かに感動していた。
何故ならーーーー。
都市伝説のダンサーとしての最大の醍醐味もしっかりと受け継がれる事になったからでした。
それは、ギャップです!!!
まさか、あんなに可愛らしいプチトマト姫の中に入っているダンサーの顔が、あんなに怖い顔をしているとは誰も想像出来ないでしょうからね!
多分、今のところこの事実を知っているのは、ベジタブルランドの本部の数人の方々と私だけであろう。
あっ! ベジタブルランドに来てからと言うもの、めくるめく日々を送っていたので、すっかり“アレ”を探すのを忘れていた…………。
とりあえず、初代都市伝説のダンサーに挨拶してから探す事に専念しよう!
私は、初代都市伝説のダンサーに連絡をして、家の住所を聞き出した。
それから、聞いた住所を探し出してその場所を訪れた。
私は、目を疑った!
そんな筈はないと思い、初代都市伝説のダンサーに電話をかけて、改めて住所を聞き直したのだか、間違っていなかった。
私は、恐る恐る中に入った。
「おーーい! こっちだよ!」
と声がした方向を見るとーーーー。
頭を七三分けにし、清潔感のあるキリッとした顔の小柄な神主が立っていた。
「久しぶり!」
と声をかけられた瞬間にピンときた!
あまりの変貌ぶりに、パッと見では分からなかったがーーーー!
その神主は、紛れもなく私の知っている初代都市伝説のダンサーだった!
懐かしむ暇もなく、そのまま境内の中に招かれた。
そして、私は問いかけた。
「家の家業って…………」
「そう、神社の神主!」
「創建千百年の歴史のある神社なんだ」
「へぇーーーー!」
「親父が第二十六代目の宮司を努めている」
「そうなのですね」
「俺は、先月行われた神職養成講習会を受講して、神職階位を習得したばかりだよ」
「凄いじゃないですか!」
「まだまだ、ひよっこだよ」
「でも、良かったですね! 親孝行が出来て」
「まぁな………… それで今日は何の用だ?」
「お礼を言いに来ました! それと私が紹介した先輩からも宜しく伝えて欲しいと言われたので」
「何を言っているんだよ! むしろお礼を言うのはこっちの方だよ!」
「そう言って貰えると嬉しいです!」
「あっ! そうだ! 渡したいものがある」
そう言って何かを取りに行った。
「はい、これ!」
と、おもむろに見せられたものとはーーーー!
私が、必死こいて探している“アレ”ではないか!
「えっ! どうして知っているのですか?」
「酔っ払った時に良く言っていたじゃないか!」
「そうでしたか………… お恥ずかしい…………」
「お前のお陰で家業を継ぐ事が出来たとか、探しものをしている話しをそれとなく親父にしてみたら、これを渡してあげなさいって預かったんだよ」
「それ幾らで売って貰えますか?」
「何を水臭い事言ってるんだよ!」
「いや、高価なものだから…………」
「俺とお前の仲じゃないか! それに親父も家業を継いで貰えるキッカケを俺に与えてくれたお前に感謝していたよ」
「ほれ、持って行け!」
そう言って“アレ”を放り投げてきた!
私は、落とさないように受け取った!
「ありがとうございます!」
初代都市伝説のダンサー、いや未来の第二十七代目の宮司さん!
これで、三つ目コンプリート!!!
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