第56話
私の本業、いや副業のお見合いパーティーの司会の仕事も功績が認められ、時給も三千五百円に上がって順調に行きはじめた頃ーーーー。
顔が怖い背の低い先輩は、都市伝説のダンサーの紹介を受け、海外にあるベジタブルランドの本部で第二の都市伝説ダンサーを探す為の、特別目利きオーディションを難なくクリアして、見事に合格し無事に二代目都市伝説のダンサーを襲名したとの事でした。
これで、晴れて都市伝説のダンサーは引退して、家の家業を継ぐ事が出来るみたいです。
私も顔が怖い背の低い先輩を紹介した甲斐がありました。
良かった! 良かった!
“Win-Win-Win”だね!!!
ちなみに、顔が怖い背の低い先輩は、都市伝説のダンサーの事を知っていた、世代こそ違うので接触する事はなかったようだが、優勝経験のあるダンスの世界大会の初代チャンピオンが、都市伝説のダンサーだったので名前だけは知っていたようだ。
やっぱり、エンターテイメントの世界は狭い。
兎に角、私は喜びの祝杯をあげたいと思っていたら、ミュージカル劇場の先輩で仲の良いイケメンダンサーに飲みに行かない?
とタイミング良く誘われた。
そして、イケメンダンサーのオススメの飲み屋に向かった。
小洒落た外観で、店内は欧風の宮殿を思わせる品の良さが漂う感じで、やたらと鏡が多い造りになっていた。
イケメンダンサーは、その所々の鏡に自分の姿が写る度に髪をかきあげてチェックをしていた。
なんてナルシストなんだろうと思った。
そして、個室に案内された。
個室に入ると既に、ボトルで高そうなシャンパンが用意されていた。
私は、ビールが飲みたかったのだが、たまには良いかと思いお洒落なグラスに目一杯注がれたシャンパンをーーーー。
まるで炭酸飲料を飲んでいるかの如く飲み干した。
美味しい!!!
私は、何杯もお代わりをしガブガブ飲んだ!
普段、シャンパンに飲み慣れていないので酔っ払うのが早い…………。
イケメンダンサーも面白がってどんどん飲ませてくる。
トイレに行こうと立ち上がったら、足にきていた。
ヤバい! 調子に乗って飲み過ぎたようだ…………。
よろけた私の身体をイケメンダンサーが支えてくれた。
優しい!!!
しかも、香水の凄く良い香りがした。
このシチュエーションで、イケメンダンサーに抱えられたらーーーー。
女性だったら誰でもイチコロでしょう!
だって、同じ漢でも不覚にもうっとりしてしまったからね。
相当酔っ払っているけど…………。
イケメンダンサーは、私を見つめて囁いてきた!
「ぼくの事、知ってる?」
「何言っているのですか! 知ってるに決まっているでしょ!」
「それならいいよね」
そう言って、私の大胸筋を触りながらキスをしようとしてきたのでーーーー。
「ちょちょちよっと! 何をするのですか!」
私は、必死に抵抗して距離をとった。
「ぼくの事、知ってるんでしょ?」
「はい、いつもお世話になってます」
「そう言う事じゃなくて」
包み込むような悩ましい妖艶な眼差しで迫ってきた。
私は悟った…………。
「いや………… あの………… ごめんなさい…………」
「どうして謝るの?」
「だから………… その………… そっちの趣味はないので…………」
「…………」
一瞬、無言になり悲しそうな目をしたかと思ったらーーーー。
「こちらこそ、ゴメン!」
「いいのですよ、普段から良くして貰ってるので好きですから」
「ん?」
「いや………… ち違うのですよ………… そっそう言う意味ではなく人間としてですよ」
「良かった………… 嫌われなくて…………」
「嫌う訳ないじゃないですか!」
「じゃあ、今まで通り友達でいてくれるの?」
「勿論です!!!」
この後、他のダンサー仲間も誘ってカラオケで朝まで歌いまくった。
ちなみに、イケメンダンサーが失恋ソングばかり歌っていたのは気のせいか…………。
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