第52話

懇親会の次の日から、リハーサルが始まった。


何が凄いって言っても、リハーサルの期間のギャラも貰えると言う事なのです。


これは嬉しい。


ベジタブルランドのメインイベントでもあるミュージカル劇場でのショーなので、出演するダンサーも険しいオーディションを何度も勝ち抜いてきた者だけが立てるとあって、ギャラもそこそこ高額なのです!


流石は世界を股に駆けるテーマパーク!


オーディション基準の厳しさと経済力が半端じゃなかった。


ここで、下手は売れない…………。


益々気合いが入る私であった。


当然、他のショーダンサーやパレードダンサーのレベルも高い。


中でもキャラクターの中に入っている人達のダンスのレベルは、特に目を見張るものがあった!


まぁ、これは都市伝説として語り継がれている話しなのですがーーーー。


ベジタブルランドのメインキャラクターである、プチトマト姫の中に入っているダンサーが、シフト制で数人いるのだが、その中の一人のダンスのキレが半端ではなく、凄くレベルの差があるらしいのだ。


もう格が違い過ぎて、素人目でも気づいてしまう程らしい。


しかも、このダンサーは本部の上層部にそのレベルの高さを買われ、他のダンサーに刺激を与えて士気を高める役割を担っており、世界にある三ヶ所の姉妹施設と、この国のベジタブルランドをぐるぐる順番に回っているらしいのだ。


従って、どの国のベジタブルランドで、どの時間帯のどのショーでお目見え出来るのか分からないらしい。


故に、遭遇する事が出来たら“願い事が叶う”と言われている。


信じるか信じないかは私次第!


私は信じる、いや信じたい!!!


だって、その方が夢とロマンがあるからね!


そんな都市伝説を聞いてからと言うもの、プチトマト姫の中のダンサーが気になって仕方がない。


兎に角、このミュージカル劇場に出演するプチトマト姫の中のダンサーをチェックする事は出来る。


確率の問題で言えば、計算が得意ではないので明確な数字を割り出す事は出来ないが、毎日確認していればいつの日か出会えるはずだ。


そんな邪な気持ちを抱いたまま、ショーでは頑張る私であった。


そして、数ヶ月後に都市伝説のダンサーらしきプチトマト姫と遭遇出来た。


確かに、キレッキレッのダンスでメリハリがあり、客席に向かってのパフォーマンスと投げキッスなどの間やテンポも凄く良い。


これは例え、中のダンサーが今日は身体の調子が良かったからだとか、良い事があってウキウキして気分が乗っていたとか、そんな理由でダンスのキレが変わる程のレベルではない事は、一目瞭然!


遂に見つけてしまった。


疑念が確信に変わった!!!

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