第三章

第51話

私は、三つ目の“アレ”を求めてーーーー。


家宝の和紙に描かれた日本地図を広げ、次なる鳥居の場所を探した。


そして、鳥居の場所の近くにあるテーマパークをチェックし、オーディションを受ける事にした。


ここのテーマパークでは、ミュージカル劇場でのショーダンサーに混じって、殺陣とアクロバットをするエンターテイナーが募集されていた。


アクション俳優の私には、ドンピシャだ!


早速、オーディションの日時を確認して受けに行った。


オーディションには、私と同じアクション俳優の先輩をはじめ、沢山のエンターテイナーが受けに来ていた。


今回は、倍率が高くなりそうだなぁ…………。


流石の根拠のない自信家の私でもそう思った。


理由は、殺陣も去ることながらアクロバットのレベルも相当高い!


“井の中の蛙”だった事を痛感した…………。


世の中は広い、いや広すぎる。


先輩のキャリアとセンスが物語っていた。


しかし、ここで負ける訳にはいかない!


私には、家宝の謎を解くと言う目標があるのだ!


ここで、三つ目の“アレ”をゲットしてやる!!!


数日後、オーディションの結果の連絡がきた。


合格しました!!!


私は、担当者に寮に入りたいと言ったら、寮はありませんと言われた。


誤算だった…………。


固定観念で、てっきり寮があるものだと信じ込んでいた。


まぁ、二つ目をタダでゲット出来た事もあり、若干の余裕があったので近くのアパートを借りる事にした。


敷金と礼金がいらなくて、前家賃のみで借りる事が出来るアパートを見つけた!


引っ越しと言っても家具などの大物はないので、全て段ボールに収まるものばかりの為、引っ越し業者に頼む必要はなく、宅急便で送る事が出来たので相当安くついた。


今回、行き着いたテーマパークとはーーーー。


世界に三ヶ所の姉妹施設のある、野菜をモチーフにした“ベジタブルランド”でした。


世界規模のテーマパークだったので、オーディションに来るエンターテイナーの人数も多くレベルも高かったのだ。


こうして私は、合格者だけに通達された顔合わせと懇親会を兼ねたパーティーに参加する事が出来た。


周りを見渡すとオーディションで、一緒だった人達が何人かいた。


この人達が受かったのか。


ん? アクション俳優の先輩の姿が見当たらない!


何故だ?


私よりも、キャリアもセンスもありーーーー。


その上、殺陣やアクロバットの技術もレベルも高かったのに。


小耳に挟んだ情報では、先輩は顔が怖くて背が低いからだと言う理由で落とされたらしい。


このテーマパークには、子供達が沢山訪れるのでキャストと呼ばれるパーク内で働いている方々を含め、出演者にもお客様に顔を見られる対象者は全て、優しい顔と爽やかな笑顔が求められるからだと。


更に、外国人ダンサーも多いので身長のバランスが悪いと、演出的な事も踏まえ見栄えが良くなくなるので駄目らしい。


あれだけの技術を持っていても落とされてしまうのか!


これがエンターテイメントの世界なのか…………。

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