第50話
更に調子に乗った私はーーーー。
今度は、一番大きいメインの御神輿の上まで忍者っぽく駆け登り逆立ちを披露した!
益々盛り上がりを見せる見物客。
もっと盛り上げようとして、梯子乗りが良くやる様々なポーズを見様見真似でやって見せた。
そして、御神輿の一番上に手をかけた時に、装飾品をポキッと折ってしまった…………。
私は、気づかれないように晒しの中に仕舞い込んだ。
誤魔化す為に、御神輿の上から忍者っぽく宙返りをして降りた!
見物客の割れんばかりの拍手が鳴りやまないのをよそにーーーー。
最後は、忍者っぽく手を振りウインクをして担ぎ手に戻った。
やりきった!!!
私の功績があったのか、なかったのかは別にして遷宮を大盛況の中、大成功で終える事が出来た。
とりあえず、私は御神輿を壊してしまった事を町長に謝りに行った。
すると、町長から御神輿は神社の所有物だから、神社の神主に謝った方が良いと言われた。
早速、神社へ向かい神主を尋ねた。
そして、正直に壊した事を伝え謝罪した。
「大切な御神輿の装飾品を壊してしまって、本当に申し訳ございません」
「いやいや、いいんですよ、あの装飾品は元々なかった物で御神輿を少しでも派手に魅せる為に、付け足した物なのですから」
「えっ! 本当ですか?」
「だから、壊れ易いのは当たり前の事なんですよ」
私は、少し心が晴れた。
そして、装飾品を手に取り何の気なしに、じーーっと眺めた。
「あっ! これはもしかして!」
「どうしました?」
「あっ………… いや………… あの…………」
私は、装飾品に埋め込まれている“あるもの”を指差してーーーー。
「これって何ですか?」
「あっ、これね、これは数十年前にある人物から返納されたものです」
(やっぱりそうだ!)
「ちなみに、これを売って貰える事って出来ますか?」
「出来ますよ」
「だったら、私に売って下さい!」
「別にいいですが」
「ちょっと伺いたいのですが、宜しいでしょうか?」
「何なりとどうぞ」
「これの値段は、どのように決められたのですか?」
「これに願掛けをする為に要した期間と労力とエネルギーの合算です」
「そんなに大変なのですか?」
「例えば、百回願掛けをするのに百日かかりますから」
「どうりで値段が高い訳だ!」
「それで、これは幾らで売って貰えるのですか?」
「欲しければ持って行っていいですよ」
「えーーっ! タダって事ですか?」
神主は大きく頷いた。
「遷宮を盛り上げてくれたお礼ですよ」
「ヤッターー!!! ありがとうございます!」
こうして、思わぬ形で“アレ”をゲットする事が出来た。
二つ目コンプリート!!!
私は、早速得意の一身上の都合を理由にパッション村を辞める手続きをした。
ちなみに、信じるか信じないかは別として、ボンボン家族には本当の事を伝えた。
さて、三つ目の“アレ”を求めてーーーー。
次の場所を確認し、近くのテーマパークを探さねば!!!
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