第49話
そして、遷宮の日を迎えた。
私とボンボンは、本業のパレードダンサーの仕事があるので、パレードの合間の時間を縫って遷宮に尽力した。
しかし、ただ一つ問題があった!
御神輿の担ぎ手に私とボンボンが加わったところで、町内会のメンバーだけでは足りない事に変わりはなかった。
それに、遷宮ともなると普通のお祭りの規模を遥かに凌ぎ、御神輿の数も当然増える訳なので。
そこで、ボランティアで御神輿を担ぐ専門の団体がいると言う情報のもと、見つけ出す事が出来たので事なきを得た。
この団体は、御神輿をこよなく愛し担ぐ事だけに突起した方達の集まりなのです。
全国の津々浦々の土地のお祭りで御神輿が出ると聞きつければ、何処へでも参上すると言う頼もしい団体なのです。
何が凄いって、屈強な肉体は勿論の事、肩に担ぎタコと言われるコブが出来ているのです。
このコブの大きさが御神輿を愛する大きさと比例しているとかいないとかで、コブを大きくするトレーニングをしている方もいるとかいないとか。
中には強者がいて、ソフトボール位の大きさを誇るコブの持ち主もいた。
私は、御神輿初心者なので色々コツを教わった。
特にコブが出来ないような担ぎ方を…………。
肩パットかタオルを折り畳んだものを接触する箇所に付けておくだけらしいのだが。
逆に、一回や二回担いだ位で出来る程、甘くはないと怒られた。
そこは筋肉と一緒で、一長一短に作られるものではないと。
日々のトレーニングの積み重ねだと言う事ですね。
御見逸れ致しました…………。
そして、遂に御神輿を担ぎ上げ町内を練り歩き始めた。
「ワッショイ! ワッショイ!」
威勢の良い掛け声と共に御神輿を担ぐ私達。
遷宮初日は、日曜日とあって凄い見物客の数で町内はごった返していた。
それもそのはず、町内だけではなく近隣の地方からも、一目見ようと集まって来ているのだから。
何と言っても二十年に一度の盛大なお祭りだからね!
町内を練り歩いて三十分程経った頃、見物客の中にボンボンのお父さんとお母さんと妹を発見!
凄く良い場所を陣取って、宴会をしながら楽しんでいた。
ボンボンの家族は、私達を見つけるなり大手を振ってきた。
そして、あろう事か酔っ払たお父さんが、悪乗りして周りの見物客を巻き込み手拍子と共に掛け声をかけて叫び出した!
しかも、その掛け声が!
「忍者! 忍者! 忍者!」
その掛け声は、波紋してどんどん広がっていった。
いつの間にか見渡せる範囲の見物客が皆、同調して手拍子と共に掛け声をかけ出した!
「忍者! 忍者! 忍者!」
あれだけの人達に囃し立てられたらーーーー。
血が騒ぐ!!!
エンターテイナーの性とでも言いましょうか、身体が勝手に動き出したのです!
私は、周りの担ぎ手の方々に一声かけて抜けさせて貰った。
そして、肩パットを外して忍者っぽく参上しーーーー。
忍者っぽくアクロバットを披露した!
パレードと違ってアクロバットをする時間は、たっぷりとあったので調子に乗って沢山披露させて貰った。
見物客は総立ちになり、お返しにとばかりに大歓声と拍手を送ってくれた。
何ものにも代え難いこの感覚。
最高にーーーー!
気持ちいい!!!!!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます