第48話
私は、落ち込んだ状態でボンボンのお父さんに誘われた町内会の飲み会に訪れた。
「おう! やっときてくれたか!」
「遅くなってすみません…………」
「なんだ? 元気がないなあ」
「彼女にフラれでもしたか?」
「ドンピシャです…………」
「そうか、そうか、そんな時は呑んで忘れろ!」
「はっはい!」
酔っ払ったお金持ちに励まされると、妙に元気が出てきた。
「そうだ、町内会の皆に紹介しないと」
「彼は、わしの息子の友達で忍者なんだ!」
「拙者、忍者でござる、宜しゅうお頼み申す ニンニン!」
と言ってバク宙をして悪乗りしたら、凄くウケてしまった。
町長にも気に入られた。
そして、町長は私を見るなり。
「流石は忍者、いい身体をしておるのぉ」
「来月、町をあげてのお祭りがあるんじゃけど、手伝ってくれんか?」
「どんなお祭りですか?」
「二十年に一度行われる神社の遷宮と言うお祭りじゃよ」
「そんなお祭りがあるのですね」
「しかし、困っている事があってな」
「ん? 何を困っているのですか?」
「この通り、町内会のメンバーの高齢化をはじめ、若者達は皆都会に行ってしまって、御神輿の担ぎ手が足りないんじゃよ」
「それは大変ですね」
「このままだと、遷宮が出来ないかもしれん…………」
「分かりました! 私で良ければお手伝いしますよ!」
「本当か? 助かるよ、流石は忍者じゃのぉ」
「まぁ、仕事でもパレードでパッション村を練り歩いているので、御神輿を担いで町内を練り歩く位はお安いご用ですよ」
「皆! 聞いたか? 頼もしい救世主が現れたぞ!」
町長の言葉に盛り上がる一同。
そして、遷宮の準備が着々と行われる事になった。
私は、昼間のパレードの仕事を終えて、夜は御神輿の担ぎ方を教わったり、練り歩くコースを確認したりした。
丁度疲れが溜まってきた頃、いつも通りパレードに出演していたらーーーー。
数人の見た事のある大人達が、私に向かって何かを言ってきた。
「この裏切り者!」
良く見ると、原始時代村の上層部の方達だった。
なんでも、相変わらず集客に行き詰まった上層部の方達が、他のテーマパークを勉強する為、視察に来たと言う事らしいのだ。
そこで、たまたま私を見つけてしまったと言う訳なのだ。
上層部には、一身上の都合と言う理由を告げて辞めているので、まさか他のテーマパークに行っているとは夢にも思わなかったでしょう。
しかも、原始時代村のキャンペーン部隊までやっていたのにと言う気持ちでしょうから、裏切り者と言われても致仕方がない。
私は、全てを踏まえて満面の笑みで手を振った!
そして、これ見よがしにアクロバットをして、ウインクをした。
これが、エンターテイナーとしての宿命!
私には、家宝の謎を解くと言う目標が出来たのでーーーー。
一切、言い訳はしません!
一流のエンターテイナーを目指して、輝く事で恩返しさせて頂きます!!!
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