第47話
次の日ーーーー。
仕事終わりに私は、ボンボンのお父さんに貰った真珠のペンダントを彼女にプレゼントしようと思ったのだが、その貰った経緯を彼女に話したら、それは貰えないよって言って私の首につけてくれた。
そして、真珠のペンダントをつけたまま彼女と食事に出掛けた。
彼女の大好きな洋食屋さんで、彼女と同じ巨大ハンバーグを食べていたらーーーー。
前のテーブル席で、一人で寂しく巨大オムライスを食べていた女性が、チラチラと私に目配せをしてきた。
それに気付いた彼女が、不機嫌になったその時ーーーー。
巨大オムライスを食べていた女性は大胆な行動に出てきた!
私の顔に顔を近づけてきた!
キスをされるのかと思ったら、胸元の真珠のペンダントを見るなりーーーー。
「こっこっこれは………… あたしが探し求めている…………」
「幻の真珠?!」
思わず私は聞いた。
「どう言う事ですか?」
すると、巨大オムライスを食べていた女性は、おもむろに語り出した。
「実は、五つの真珠を探して全国を飛び回っているの」
(なんだか私の家宝探しと似ている…………)
「二つは手に入れたんだけどね」
「ただ、同じ真珠でも色、模様、エクボが違うのよ」
「その全てが一致しないと駄目なの」
「ちなみに、あなたのペンダントの真珠で三つ目なんだけど…………」
「お金は、幾らでも払うから譲ってくれない?」
そこで、彼女が遮った。
「これは、駄目!」
「どうして? お願い! 譲ってよ!」
巨大オムライスを食べていた女性は、巨大ハンバーグを食べていた彼女に食い下がった。
「これは、直ちゃんの大切なものだから!」
今度は、彼女が食い下がった。
彼女の気持ちは有難いのだが、女性の気持ちも凄く良く分かる。
私は重い口を開いた。
「実は、私も同じような事をしていまして…………」
洗いざらい話した。
すると、彼女はーーーー。
「じゃあ、ここでそれを手に入れたら、次の場所に行ってしまうって事?」
「まぁ、そうなるね…………」
「いやよ! 遠距離恋愛なんて!」
「ついて来るか?」
「そう言う問題じゃないでしょ!」
「でも…………」
「今、初めて聞いたし、隠し事されていたみたいで腹が立ってきた!」
「別に隠していた訳ではないのだけど…………」
「この際だから言わせて貰うけど、直ちゃんこの子と何かあった?」
女の子の写真を見せられた。
「いや………… 何もないよ…………」
「怪しい………… 情報は入っているのよ」
「みなまで言うな!」
私は、全力で彼女の話しを遮った。
「私達、もう終わりね!」
「さようなら」
そう言って残りの巨大ハンバーグを頬張って去って行った。
こうして鬼モテ連チャンは終了した!
本当に短い“薔薇色の人生”の期間だった。
おそらく“情熱の薔薇”の効力がきれたのだろう。
若気の至りと言えばそれまでだが、全ては私の不徳の致すところ…………。
自業自得の結果なのである…………。
意気消沈した私は、真珠のペンダントを女性に渡した。
「ありがとう! 幾ら払えば良い?」
「タダで差し上げます」
「やったーーーー!!!」
大喜びをする女性。
「これで三つ目の真珠を手に入れたわ!」
「あと、二つね!」
「でも、これからが大変なのよ」
「あなたみたいにペンダントだったらいいけど」
「超セレブのピアスで頑なに譲ってくれなかったら、どうしよう」
「夜の街の帝王の一物に埋め込まれていたら、どうしよう」
「とか考えちゃうのよね」
(そんな事まで………… 私を凌ぐ妄想家だなぁ…………)
「頑張って見つけて下さいね」
この言葉しかかけられなかった。
「じゃあ、あたしは急ぐので!」
そう言って残りの巨大オムライスを頬張って去って行った。
とりあえず、私はボンボンのお父さんに真珠のペンダントをどうしても譲って欲しいと言う方に、あげたと連絡した。
すると、お父さんはそんな事は、どうでも良いから町内会の飲み会に顔出してくれと言ってきた。
鬼モテ連チャンも終了して彼女にもフラれたし、気晴らしに呑みたい気分だったので、オッケーしたのは言うまでもない。
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