第45話

念願の絶世の美女ダンサーのお尻に入ったタットゥを拝む事が出来たのだが、良い事はまだ訪れていない。


やっぱり噂なのか…………。


でも、あれ以来何かとパーティーがある度に誘ってくれるようになった。


って言うか、パーティー多すぎ!


パジャマパーティーやメガネパーティー、帽子パーティーにマスクパーティーなど何かと託つけてパーティーをしたがる。


水掛けパーティーの時は、店内が水浸しになりオーナーにバレて危うく出禁になりかける始末…………。


情熱の国のダンサー達は、ただ飲んで踊りたいだけなのだ。


昼間は、パレードやショーの仕事で踊って、夜はバーで飲みながら朝まで踊り狂う。


本当にダンスが好きなんだなぁ。


しかし、どこにそんな体力があるのだろうか、冗談抜きでタフ過ぎるよ。


もう尊敬の域に値するレベル。


そうやって情熱の国のダンサー達に敬意を払っていたら、妙な噂を小耳に挟んだ。


私が、パレードの最後にソロでアクロバットをする場面があるのだが。


丁度その辺りのテナントで働いている数店舗のお店の女の子達が、口々にーーーー。


「あのバク転は、わたしの為にやってくれているの」


と言い争っているらしいのだ。


ちなみに、その女の子達とは全く面識はありません。


ただ、思い当たる節はある。


アクロバットの後にパフォーマンスの一環として、手を振ってウインクを不特定多数のお客様にしているので、その時に私は意識をしていないのだが、たまたま目が合ったテナントの女の子達が勘違いをしている可能性は否めない。


絶世の美女ダンサーにウインクをされた時にビビッときたので、パクって取り入れただけなのだけど、こんなに効果があるとは思わなかった。


ウインクを取り入れてからと言うもの毎日、ファンレターだけではなくラブレターまで届くようになった。


人生初のモテ期到来!!!


お陰様で高校生の時以来の彼女まで出来た!


これも絶世の美女ダンサーのお尻に入っている薔薇のタットゥを拝んだ効力なのかなぁ。


あの噂は本当だったのだ!


そして、先月から近くで開催されている万博博覧会に彼女と一緒に遊びに行く事になった。


会場には、世界各国の様々なパビリオンが建ち並んでおり、興味のあるものから順番に観賞した。


そして、発見してしまった!


万博博覧会が、パッション村と同じ地方で開催されている事もあり、パッション村も協賛していたのでした。


建物の壁にパッション村のパレードの場面が、大きなパネルになって掲げられていた。


なんと、その場面に私も写っていたのでした!!!


彼女は、横にいる私を見てパネルに写っている私を見てを何度も繰り返し、手を叩いて涙ぐみながら喜んでいました。


こんなに喜んでくれるなんて、パレードダンサー冥利に尽きる。


“情熱の薔薇”の効力は、まだ続くのか?


信じるものは救われる。


ありがたや! ありがたや!

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