第38話

結局、明確な辞める理由は告げず、月並みではあるが、一身上の都合にした。


これが、一番無難なのだ。


統括マネージャーを始め、上層部や村長は驚いていた!


契約公開で金額を一番跳ね上げてやったのに、何が不満なんだと言わんばかりに。


アクション講師や仲間達にも辞める旨を伝えた。


来る者は拒まず、去る者は追わず体制の原始時代村の中で、嬉しい事に皆が引き止めてくれた。


だから、皆には本当の理由を言う事にした。


少し現実離れした事なので、バカにされたりするかも知れないと心配していたのだが皆、真剣に聞いてくれて逆に応援までしてくれたので嬉しかった。


やっぱり、持つべきものは仲間だね。


そして、普段あまり交流のなかったドンマイが口癖の者が、中心になって送別会を開いてくれる事になった。


焼き肉が大好きな私の為に、一次会は焼き肉食べ放題のお店にしてくれた。


二次会はカラオケ。


苦楽を共にしてきた仲間達が、応援歌を歌ってくれた時は号泣してしまった。


サプライズで、私が生まれた年のヴィンテージワインのボトルをくれた。


ボトルには、マジックで寄せ書きがされていた。


アクション講師からも、本物の忍者が仕様していたと言われている貴重な手裏剣を貰った。


私は幸せ者です。


原始時代村での体験と思い出は、生涯の宝物です。


皆、ありがとう!!!


感動に浸っていたら、ドンマイが口癖の者とマシュマロカットで童顔の者が揉めていた。


「何がドンマイなんだよ!」


「だからドンマイ!」


「まだ、何もミスをしていないのに、ドンマイって言うなよ!」


「いいからドンマイ!」


こんな会話がされていた。


「ドンマイ! ドンマイ!」


「うるさい! ばか!」


すると、ドンマイが口癖の者がドンマイと言わずにーーーー。


「あっ! “チクチク言葉”だ!」


「言われて嫌な気持ちになる言葉は、“チクチク言葉”なんだよ!」


「なんだ? それ?」


「逆に、言われて嬉しくなる言葉は、“ふわふわ言葉”なんだよ!」


「保育園の時に習わなかった?」


「じゃあ、お前のドンマイは俺にとっては”チクチク言葉“だから止めてくれ!」


「君が、そう感じたのなら分かったよ……………」


そこにアクション講師が割って入った。


「今日は、大地の送別会なんだから仲良くしろ! 二人共ドンマイ! ドンマイ!」


「…………」


変な空気が流れた…………。


空気を変える為に、もう一度仕切り直して乾杯をする事にした。


更に空気を変える為に”チクチク言葉“を禁止にし、“ふわふわ言葉”だけを使うと言うルールにした。


そして、そのノリのまま三次会に突入し居酒屋で朝まで盛り上がった。


人生で一番呑んだ日だった。


“ふわふわ言葉”に気を良くした私は、アドリブでカマキリ拳法の型を披露した!


これが伝説のカマキリ拳法だったのかと盛り上がった!


トラウマになっていたカマキリ拳法を、自ら披露したくなるほど楽しかった!


恐るべし”ふわふわ言葉“の底力!!!

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