第36話
キャンペーン活動も終盤に入り、ホテルでゆっくりお風呂に入っていた時に、予期もせぬ事態が起こった!
ジリリリリン! ジリリリリン! ジリリリリン!
非常ベルが鳴り響いた!!!
「火災が発生しました!」
「早く逃げて下さい!」
ホテルの従業員の方々が、各部屋に伝達しに訪れ快活に非常口に私達を誘導した。
仲間達も慌てて部屋から飛び出してきた。
外に出てみるとーーーー。
ホテルの周りには、数十台の消防車が停車していた。
中には、大きな梯子車も数台混じっていた。
私は、逃げる直前までお風呂に入っていたので、小さなタオルを一枚腰に巻いた状態だけの姿だった。
致し方がない…………。
即座に出火原因などが調べられた。
結局、非常ベルの誤作動だったらしい。
ホテルともなると、たかが誤作動だけでもこんなにおおごとになってしまうのか。
呼ばれれば、とりあえず来なければならない消防士も大変な仕事だなぁ。
火災が発生すると、直ぐ様駆けつけて火の中に飛び込んで救出作業をする時もあるのだろうから。
消防士も命を張った仕事なのだ。
しかも、人助けの為に命を張っているのだから頭が下がる。
本当のヒーローだな。
そして、原因も分かり事態も落ち着いたので、消防車も次々に引き上げて行った。
私は、敬意をはらって消防車を見送った。
腰に小さなタオルを一枚巻いただけの姿で…………。
消防士の仕事を改めて理解したら、畑は違えど頑張ろうと心に火が付いた。
気持ちは高揚しているが、身体は完全に湯冷めして冷えきっていた。
私は、ホテルの部屋に戻りお風呂に入り直す事にした。
冷めきったお湯を追い焚きして、丁度温まってきた頃にまたもや予期せぬ出来事が起こった。
突然、お湯が波打ってお風呂場が揺れ出した!
地震だ!!!
私は、慌てて追い焚きを止めてお風呂から上がった。
そして、先ほどの恥ずかしい教訓を生かして、濡れた身体も拭かず兎に角洋服を着ながら火元をチェックした。
最低限の荷物と貴重品を持って、部屋から出ようとしたら地震が収まった。
ホテル側からもアナウンスが入り、大事には至らなかったので暫く様子を伺った後、またお風呂に入り直した。
「ふぅーーーー」
大きな溜め息が出た。
一息付いたのは束の間。
今度は、お風呂場の電気がチカチカと点いたり消えたりを繰り返した後に消えたままになった。
停電だ!!!
即座にお風呂から上がると部屋の非常灯が点灯していた。
窓から外を眺めると、稲光が見えた。
雷の落雷による停電らしい。
ホテル側の迅速な対応により、電気はすぐに復旧した。
本日、三度目のお風呂に入り直す。
肩まで湯船に浸かり、目を閉じたらーーーー。
ある言葉が頭をよぎった。
“地震・雷・火事・親父”
恐ろしいものを列挙した言葉で、昔の人は良く言ったものです。
確かに地震も雷も火事も、ほんの数時間で全て体験したが、ある意味私にとって一番恐ろしいのは父親だ。
だって父親の会社が倒産して家族がバラバラになり、住む家まで失ったのだから…………。
しかし、“備えあれば憂いなし”と言う言葉もあるが、突然の災害や不慮の事故など防ぎようもない時もあるだろう。
人生、日々悔いのないように生きないとなぁとしみじみ思った。
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