第31話
オープンして半年が過ぎた頃ーーーー。
地元の人達に飽きられのか、一度行けばもういいかな的な感じから客足が急激に減少した。
忍者のコアなファンは訪れるが、原始時代村全体的に見ると目標来客数には到底及ばない。
酷い時は、原始時代村の村内にはチラホラいるのだが、劇場にお客様が一人も入らず、七回目と八回目のショーが中止になる事もあった。
中止になれば、まだ良いのだがーーーー。
お客様が、一人でも入ると当然劇場の幕を上げる事になる。
お客様が、高校生カップルの二人だけの時は正直辛かったなぁ…………。
出演者(十三人)の方が多いし、舞台装置や照明に付随する電気代、火薬やスモークの特殊効果のコストの方もかかってしまうから大赤字になる。
高校生カップルの二人だけの為に、命を張った鍛えた大人達が一生懸命やっている姿が、時に滑稽に見えた…………。
兎に角、客足を伸ばさなければならないと言う事で、遠方のお客様を獲得する為に、キャンペーンで三ヶ月間に渡り近隣地方を回る事になった。
原始人一人に忍者が四人の合計五人からなるキャンペーン部隊が結成された。
私もキャンペーン部隊に選ばれてしまった…………。
やっぱり得意のアクロバットが買われて。
結局、飛んだり跳ねたりした方が派手に見えるので受けが良いのだ。
行きたくなかったけど、キャンペーン手当てが出ると言う事なので、お金の為に割り切って行く事にした。
神社で“アレ”を買う為に!
そして、迎えたキャンペーン当日。
まず、初めに向かったのはデパートでした。
デパートの多目的スペースに特設ステージを作ってショーをする。
ショーが終わった後は写真撮影をして、原始時代村のチケット割り引きが付いたチラシを配る。
これを一日、五ヶ所のデパートや百貨店などで行うのだ。
時には、県庁や役所なども訪問して行う事もあった。
楽しかったのは、地方のテレビ番組に出演させて貰っての宣伝活動だった。
芸人さんに混じってコントに参加したり、タレントさんや俳優さんとトークをしたり、歌手の方と一緒に歌ったりと。
なんだかんだ言っても単純に、芸能人に会えるからと言うミーハーな気持ちがあったからなのだ。
ある日、商店街でショーを終えた時に、ブティックで働いていると言う二人組のこれまた綺麗な御姉様が話しかけてきた。
しかも、実にダイレクトにアプローチをしてきた。
「飲もうよ! 連絡頂戴!」
と耳元で囁かれて、電話番号が書かれた紙を丸めて握らせてきた。
過去に”美人局“の被害に遭いかけた経験があるので、素直に喜ぶ事が出来なかったが。
”漢“って懲りない生き物なのです…………。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます