第30話
明日、数十年に一度の大型台風がやってくるとーーーー。
新聞やテレビのニュースの報道が賑わっていた。
原始時代村でも例外ではなく、管理部の方から通達が来た。
明日は、大型台風の雨風の影響でお客様に怪我人が、出る恐れがあるのと交通機関も乱れる為、臨時休業になるとの事。
地元の方々の家も大型台風対策が、万全な状態になっていた。
原始時代村も風で飛ばされそうな物を室内に入れたり、補強するなどして備えた。
私達も食料を買い込んだり出来る限りの事はやった。
遠方から遥々、弟の晴れ舞台を観に来ていたギョロ目の者のお姉さんも、大事をとって大型台風が過ぎ去るまで滞在する事になった。
そして、迎えた大型台風の日。
奇跡的に原始時代村の周辺地域が、見事なまでに大型台風の目の中に入り被害を逃れた。
しかし、せっかく食料やお酒とお菓子を沢山買い込んだのに…………。
買い込んだものを余らすのは、もったいないので酒盛りをする事にした。
ギョロ目の者が、せっかくだからお姉さんも呼びたいと言うので、上品で清楚な方だったので快く迎えてあげた。
そして、ギョロ目の者の部屋に数人集まり、お姉さんも一緒にどんちゃん騒ぎが始まった。
私達もお酒は強い方だが、それを遥かに上回るほどの大酒豪のギョロ目の者のお姉さん。
ノリも良く歌い出したり、踊り出したり大騒ぎ。
挙げ句の果てには、洋服を脱ぎ始めてスッポンポンになる始末…………。
それを必死になって止めるギョロ目の者。
しかし、それを必死になって躱すギョロ目の者のお姉さん。
こんなやり取りが何回か繰り返された後ーーーー。
遂に、姉弟喧嘩が勃発した。
ギョロ目の者が、ギョロ目の者のお姉さんに飛びかかった瞬間。
後ろに回られて、がっちりスリーパーホールドを極められた。
絞め落とされて失神するギョロ目の者。
それを目の当たりにした私達はドン引き…………。
お酒も強いが喧嘩も強い!
一升瓶を片手に持ち、目が座った状態でドカッ! と座りあぐらをかいた。
顔も身体も深紅色に染まり、その姿はまるで赤鬼のように見えた。
完全に出来上がっているギョロ目の者のお姉さんがーーーー。
「よーーし! 王様ゲームやるぞ!」
「オレが王様な!」
「お前らジャンケンで奴隷を決めろ!」
と突然言い出した!
(私の知っている王様ゲームではないし、いきなりオレとか言い出して完全に人格が変わっているし……)
逆らうと面倒臭い事になりそうなので、ここは従う事にした。
そして、ジャンケンに負けて奴隷になった眉毛が繋がった者が命令された。
「おい! 奴隷! 王様の足の裏を舐めろ!」
眉毛が繋がった者は、嫌な顔一つせず舐め始めた。
続けて王様の命令が飛ぶ!
「この中に童貞の奴はいるか?」
「童貞の奴は、この部屋に残れ!」
「童貞じゃない奴は、この部屋から出て行け!」
生憎私は、童貞ではないので出て行く事にしました。
そして、眉毛が繋がった者を含めた三人の童貞の者達が残る事になった。
私は、自分の部屋に戻り飲み過ぎたせいもあり、すぐに寝てしまった。
次の日ーーーー。
何事もなかったかようにギョロ目の者のお姉さんが、笑顔で挨拶をしてきた。
そして、颯爽と帰って行った。
昨日の出来事は、一切覚えていないらしい…………。
ちなみに、三人の童貞の者達がやたらとヘラヘラしているのが気になったがーーーー。
あの後、何があったのかはあえて聞かない事にした。
結局、大型台風の目に入り暴風で飛ばされて失うものは何もなかったが、台風の目ならぬ“ギョロ目”の者の部屋に入り三人の童貞の者達は、確実に何かを失ったと思うのだが気のせいか…………。
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