第16話

しかしながら、運動量が半端じゃない私達は、食事の量も半端じゃない!


大飯喰らいが沢山いる。


ゆえに食堂があって助かっている。


原始時代村と提携を結んでいる地元の食品会社のラッキー食品様々であった。


基本的には、おかずの量は均一なのだが、ご飯が食べ放題になっていた。


中には、おかず一品に対して丼飯一杯を食べる強者までいる。


だから、一升炊きの炊飯器が数台完備されているのだ。


昼食は、原始時代村で仕出し弁当をこれまたラッキー食品で頼んで食べている為ーーーー。


寮の食堂では、朝食と夕食を食べていた。


ラッキー食品で雇われている方が、朝と夜におかずを食堂に運んで来るのであった。


そして、お米も大量に運んできて食事時間に合わせて炊き上げてくれるのだ。


だからいつも、炊きたてのご飯が食べ放題なのであった。


私もいつものように夕食を食べていたらーーーー。


分厚いレンズの入った黒縁メガネをかけた者が問いかけてきた。


「ねぇ、知ってる?」


「何を?」


「バスケットボール位の巨大なおにぎりを隣の民家にぶつけた奴がいるんだって!」


「嘘だろ?!」


「本当らしいよ」


案の定、緊急招集がかかった。


一同、道場に集められーーーー。


村長による、いつぞやのやり取りが始まった。


「皆! スターになりたいか!」


「はいっ!」


「スターになりたい者は手を挙げろ!」


「はいっ!」


(この一連は、必ずやるみたいだ…………)


「お米を笑う者はーーーー」


「お米に泣く!」


「お米を粗末にするな!」


「以上!!!」


(えっ? それだけを言う為に、夜分にわざわざ緊急招集?)


「一同! 解散!」


(アクション講師も真面目な顔して良く仕えていられるな……)


寮に戻って真相が分かった。


色々な噂に詳しい、顔にたくさんホクロがある者に聞いてみるとーーーー。


大抵の者達は、お腹一杯ご飯が食べられる事で満足している“質より量”型なのだが。


中には“量より質”を求める者もいるようで、たまに炊きたてのご飯ではなく前日の残りのご飯が出される事に憤慨して、今回の巨大おにぎり事件に発展したようだ。


私もどちらかと言うと“質より量”のタイプなので、気にもならなかったのだけど、気にする者は気にするのだね。


犯人は、分厚いレンズの入った黒縁メガネをかけた者だった。


何でも実家が農家で米屋を営んでいる事も影響してか、ご飯は炊きたてじゃないと許せないのだとか。


理由がそうなら、少し気持ちは分からないでもないけど…………。


だからと言って隣の民家にぶつけなくてもね。


しかも、バスケットボール位の巨大おにぎりを。


「ラッキー食品なのに、全然ラッキーじゃない!」


って大声で叫びながら、まるで3ポイントシュートを決めるかの如く投げたそうだ。


分厚いレンズの入った黒縁メガネをかけた者の処分は、どうなったのかは知らないがーーーー。


この一件以来、ラッキー食品の担当者は代わり、ご飯も必ず炊きたてが用意されるようになった。


炊きたてに越した事はないけど、お腹一杯になればいいと思うのだけどなぁ…………。

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