第15話 敵軍? オーランス

「すげぇ! 流石レッグスさんだ!」


「レッグスさんも凄いが、あの従魔達の方が凄いぞ! 100体は倒してるんじゃないか?」


 城壁上に残った僕、兵士達が三人を見て感嘆の声をあげてるのが聞こえてくる。僕も三人みたいに暴れたいな~。


「しかし、このゴーレムたちはどこから来てるんだ」


「それなんだが、レグルス様が言うには隣国の【オーランス】の召喚士の仕業じゃないかっていう話だ。ゴーレムの魔石を買い漁っていた時期があったらしい」


 レッグス達を見ていると兵士達が興味深い話をし始めた。

 これだけのゴーレムを集めるのは大変だっただろうな。ありがとう隣国の召喚士さん、ありがたくもらいます。


「ん? なんだあれ」


 手を合わせてお礼を言っていると兵士が指さして声をあげる。その方角を見ると黒檀のゴーレムが姿を見せていた。黒檀のゴーレムは普通のゴーレム、3メートル程のゴーレムよりも約5倍程の大きさを有している。一目見て普通のゴーレムじゃないのが分かる。


「あれは【ブラックゴーレム】か……。確かレベル50の冒険者が6人のパーティーで敗れたはず……」


「おいおい!? そんなゴーレムが相手じゃ流石に……」


 兵士たちの話を聞いて僕はまだ気づいていないレッグスに知らせる。といってもプラナとウルドを介してだけどね。三人が再度町に帰ってくる。


「ブラックゴーレムが出たのか!」


 町に帰ってきてレッグスが声をあげる。城壁上に登ってきたレッグスに頷いて答える。


「黒檀の体じゃ、このミスリルの剣じゃ傷一つつかない」


 レッグスは俯きながら声をあげる。ブラックゴーレムはそんなに強いのか。ってミスリルの剣だったんだな。綺麗な剣だと思っていたけど。


「おい! あの騎士隊!」


 ブラックゴーレムだけでも驚きなのに更に兵士が驚いて指さす方向を見ると旗を掲げる軍隊が現れた。虎の顔が描かれた旗、それを見て兵士達が『オーランス』と呟く。


「ちぃ、勝ちを確信して出て来たか」


 レッグスは壁を叩き声をあげる。悔しさがにじみ出てる。

 それだけ【ブラックゴーレム】が強いってことだよな。それならそのブラックゴーレムを倒してしまえば逆転出来るってことだよね。


「バブ!」


「アキラ? どうした?」


「バブバブ」


 僕は城壁上から下りようとレッグスに声をあげる。そして、プラナとウルドに集めておいてもらった魔石を見せる。


「ゴーレムをいくら作り出してもダメだぞ。ブラックゴーレムはゴーレムじゃ止められない」


「バブ!」


 レッグスは僕がゴーレムを作ろうとしてると思ってるみたいだ。僕は大きく首を横に振って答える。

 そう、僕はプラナとウルドを強化することを考えているからね。


「我がマスターは我らを強化しようとしているのだ」


「次なる進化を」


 ウルドとプラナが跪いてくる。僕は二人を魔石に戻し魔石を重ねていく。

 レッグスにやってもらっているように見せながら魔石を合体させていく。

 魔石は330個ある。プラナとウルドに150個ずつ重ねる。そして、MPを注いでいく。

 

「魔石が一つに……」


 初めて見るレッグスが声をあげる。体で隠しているけど、光っちゃうからどうしても目立つな~。でも、彼がやってるとおもわれてるから安心安心。


「バブ~!」


 無事に魔石が完成。早速城壁上から外に投げてもらう。ブラックゴーレムみたいに大きかったら大変な事になっちゃうから、町の中じゃ無理なんだよね。

 そうこう言ってる間に黒い空間が現れる。ブラックゴーレムを見たあとだとかなり小さく感じる。出てくる魔物も小さい……と言っても人と同じくらいの大きさだな。プラナに至っては小さくなってるな。


「マスター。我は【ワーウルフレジェンド】になれました」


「私は【アダマンタイトゴーレム】になれた」


 二人は声をあげて見上げてる。そんな二人にゆっくりと近づいていくゴーレム達。まだまだたくさんいるゴーレムは二人にとって格好の練習相手。

 走り出したウルドはゴーレムを掴んで振り回しながら走り回る。見る見る魔石に変わっていくゴーレム達。それはプラナの方も同じだった。

 プラナの戦い方は簡単だ。両手を広げて走り回るだけ。ラリアットでゴーレムがどんどん魔石に変わっていく。凄いな。


「凄いな。でもブラックゴーレムはああはいかないぞ」


 レッグスがブラックゴーレムに視線を向ける。ブラックゴーレムはゴーレムと共にウルドたちに近づいていく。そして、ウルドと対峙する。

 掴んだゴーレムを武器にして叩きつけるウルド。ブラックゴーレムは意に返さずに彼に手を振り下ろす。


「ははは、鋭い振り下ろしだ。だが気付いているか? お前の腕がないことに」


 ブラックゴーレムの振り下ろした腕が無くなっている。ウルドはニヤリと口角をあげて切り落としたブラックゴーレムの腕を見せる。

 どうやら、ブラックゴーレムよりも強くなってしまったみたいだ。


「お前の腕で墓石を立ててやろう!」


 ブラックゴーレムの腕を大きく振り上げると叩きつける。しばらくすると腕も消えて魔石が残った。

 それからしばらくするとゴーレムがすべて片付く。レッグスや兵士達と一緒にウルドとプラナが片付けてくれた。

 それからオーランスの軍隊が居た丘を見るといなくなっていた。まだまだ元気なレグルスエイドの町に恐れをなしたみたいだ。

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