第18話
「これから、どうするのですか?」
「どうしましょうかね…………」
「一層の事、辞めれば良いのでは?」
「先程、言いましたけど辞めた所で潰しが利かないので…………」
「仕事を選らばなければ色々ありますよ」
「でも…………」
「実は私、高校を卒業してからの就職試験は、全部落ちて地元の随時募集されている工場の仕事に就いていましたから」
「えっ! そうなんですね!」
「だから、諦めないで第二の人生を歩めばどうですか?」
「ここまで来ると、辞めるのも続けるのも勇気がいるんですよね…………」
「同じ勇気なら幸せに成れる方を選べばどうですか?」
「確かに、そうかもしれませんね」
「ちなみに、貴方の考える幸せを聞かせて下さい」
「当然、夢が叶って劇場公開映画を撮る事なのですが、実は家族を持つ事に憧れていまして…………」
「それっ凄く良いじゃないですか!」
「普通に結婚して、普通に子宝に恵まれて、普通の幸せな家庭を築きたいのです」
「貴方なら出来ますよ!」
「本当ですか! 尊敬する山田監督に言われると何だか勇気が湧いて来ましたよ!」
「そう、その意気です!」
「確かに、今のままでは自主制作映画を撮る度に借金が膨らむ一方ですから、幸せは遠ざかって行きますよね」
「私も工場で働きながら自主制作映画を撮っていましたから」
「本当ですか? 益々希望が持てます!」
突然、愛子の古傷がズキズキ痛み出した!
しかも、今までに無い位の心地良い痛みだった。
妬んだり、ムカついた時に痛み出していた古傷が、真逆である幸せ話しをしたり、希望を与えた時にも痛み出したのであった。
愛子は、黒魔術と平行して研究を重ねていた白魔術を無性に試したくなった。
しかし、まだ研究段階で一度も成功した事がなかったので躊躇をした。
それでも真田の希望を持った時の屈託のない笑顔が忘れられず、幸せを祈る一心で白魔術を執行する事にした。
その時、愛子は閃いた!
黒魔術と白魔術は相反するものだからーーーー。
今までの黒魔術の成功例を活かして、真逆のやり方をすれば、もしかすると白魔術も成功するかも知れないと。
早速試してみる事にした。
まずは、印を逆に結び呪文も逆に唱えた!
「娜・窩・霊・沮・穭・彌・丱・堊…………」
そして、全ての工程を逆にして白魔術を執行した!
まだ一度も成功した事が無いので、何の手応えも実感もなかったが、心の赴くまま一心不乱に頑張った!
後は、就職も決まり結婚もして子宝にも恵まれて、生活に支障の出ない程度に自主制作映画を撮りながら、幸せに暮らしている真田の姿を想像して願う愛子であったーーーー。
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