第14話
撮影も残すところ後僅かになり、日程も大幅に狂う事もなく順調に進んでいたが、ここで雨に見舞われてロケが中止になってしまった。
あれだけ、天気予報を確認して決行に踏み切ったにもかかわらずの天候不良…………。
朝から雨が降っていれば諦めはつくのだが、俳優やスタッフを乗せたロケバスが、撮影現場に到着してからの突然の雨だから、どうしようもない。
故に、撮影は出来ないにも関わらずお金はかかる。
人数分発注したロケ弁が勿体無いので、食べてからバラシにして帰って頂く事にしよう。
遠路遥々、早朝からロケバスに乗って来たのに、ロケ弁だけ食べて引き返す事になるとは、本当に何の為に来たのか分からない。
外は雨が降っているので、遠足にもならない…………。
しかし、最近の天気予報が当てにならなくなってきたものだ。
サイトによっても様々で、酷いものになるとーーーー。
一時間単位の予報をリアルタイムで、コロコロ変えているものもある。
ここまで来たら、もう予報でも何でもない!
現状報告になっているのだから天気予報では無く、天気報告に改名するべきでしょう。
ロケで現場撮影している者や、野外イベントを開催している者などにとっては、天気予報の情報は必要不可欠ですからね。
まぁ、気象予報士にも言い分はあるでしょうけど。
確かに、近年の地球の温暖化や異常気象を考えると、なかなか難しいところでしょう。
そう考えれば、成るのも難しいと言われている気象予報士も当たって当たり前で誉められも感謝もされず、ハズレれば文句を言われ罵倒される大変な仕事ですね…………。
気象予報士の事を憂いていると、普段の撮影時には忙しくて、なかなか話せなかった大御所俳優と偶々話す機会に巡り合えた。
自他共に認める地位も名誉もあって、あれだけ活躍されている大御所俳優でも悩み事があるそうなのだ。
話しを聞いてみるとーーーー。
俗言う二世タレントと言われている大御所俳優の息子の事で悩んでいるらしい。
何でも、同じ俳優の道に入ってくれたのは嬉しいのだが、なかなか芽が出ないのが悩みの種だとか。
大御所俳優のコネでプロダクションにも入って活動しているし、端役でちょこちょこ出演してるのだが、ブレイクするまでには程遠い様だ。
知り合いのプロデューサーや監督にも押しているみたいなのだが、なかなかメインキャストで起用して貰う所まで漕ぎ着けない。
デビューして十年以上も経ち、年齢もそれなりに重ねているにも関わらず、当の本人には危機感がないようだ。
恵まれた環境の中、親に敷かれたレールに乗っているだけなので、ハングリー精神は皆無だし。
コネのない周りの俳優は、アルバイトをしながら貧乏生活をして頑張っているのに…………。
ただ、同じような二世タレントでも日の目を浴びている者がいるのも事実。
まぁ、当たり役や巡り合わせと運とタイミングもあるので、こればっかりは何とも言えないが。
こうして、大御所俳優の悩み事は、まだまだ続くのであった…………。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます