第15話

雨に見舞われて延期になっていた撮影も無事に撮りきりーーーー。


遂に、エグゼクティブプロデューサーが用意したシークレットゲストの女優のシーンを撮る日を迎えた。


流石にシークレットゲスト!


魅力的な良い演技をしてくれます。


愛子は、名前は知っていたが実際に本人と会うのは初めてで、当然生の演技を観るのも初めてであった。


素敵な演技をするシークレットゲストの女優に、興味を持った愛子はーーーー。


この女優の過去の作品を観てみたくなったので、ネットで探して鑑賞する事にした。


すると、ビックリしたのが、顔が全然違う事だった!


一重瞼の鼻ペチャで、エラが張っていた。


それに、名前も読み方は同じだが、漢字が違っていた。


今は、二重瞼で鼻筋が通っており、顎のラインもスッキリしている。


まるで別人になっていた。


整形疑惑があるみたいだが、ここまで違うと頷ける。


本人も、ここまで変わっている自分の顔に違和感を持たないのだろうか?


第三者から見れば、整形したのがバレバレなのだが…………。


オジサンのカツラが、ズレているレベルに匹敵する位だからね。


プロダクションもマネージャーも公認なのでしょうか?


しかし、これ位に図太い神経じゃないと、やって行けない世界なのだろうか?


顔の変わり方ひとつで、様々な連想をしてしまう。


確かに、女優である以上は美人に越した事はないのだろうけど、あれだけ魅了する演技が出来るのであれば、個性派でも良いのでは?


と思うのは第三者だからであって、当の本人には色々思う事があるのでしょう。


しかし、どれだけ顔形を美人に変えたとしても性格の悪さは目に出るし、傲慢さは鼻に出るし、不平不満や悪口を言う癖は口に出るし、内心のイライラは眉間に出るものなのです。


整形で表面的な部分を変えても、中身は変えられない。


所詮、張りぼてなのです…………。


良い演技をするだけに勿体無い。


名前の売れた俳優や技術を持った女優が、沢山オーディションを受けに来ていたが、素行振る舞いの悪い奴や何か問題を抱えていた奴は、全て落としたがーーーー。


実際には、そう言う奴等の方が生真面目な俳優より、色気のある魅力的な良い演技をするのも事実。


演技には、生き様が出るので…………。


表現の世界とは、皮肉であり不思議なものであるとしみじみ思った愛子であった。


しかも、愛子的には薄っぺらい人生を送って来た俳優の演技は、例え上手くても想定内で、つまらなくて記憶に残らないと。


逆に、壮絶で数奇な人生を送って来た俳優の演技には、役柄にも寄るが、例え下手でも凄みや深味と妙な説得力があり、魅了されて記憶に残ると。


“人間力”とでも言うのでしょうか?


世界的に見ても映画やドラマの主人公は、悲劇のヒーローやヒロインが多いですから、一緒に仕事をするのは大変になるけど、俗に言う問題児の方が俳優には向いていて、ハマるのかもしれませんね…………。

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