第4話

文化祭を迎えた日ーーーー。


村田の姿は無かった。


聞くところに寄ると、突発的なパニック障害を引き起こし、人が変わった様に暴力的になり、家庭内の関係も悪化して奥さんとも離婚をしたらしい。


そして、教員として働ける状態ではなかった為、退職に追い込まれていた事が分かった。


結局、職員室での愛子との一件が、原因ではないかと学校中に噂が広まりーーーー。


益々、愛子は生徒達をはじめ、先生達にも一目置かれる存在になってしまった。


それ以来、愛子と同じクラスになると、二年生の時も三年生の時も文化祭での出し物は、暗黙の了解で占いの館になっていた。


この頃の愛子は、魔術を独自に幾度となく研究を重ねた結果、外面的な効果と内面的な効果の使い分けが出来る様になっていた。


そして、高校を卒業した愛子は、就職試験に悉く落ちたので仕方無く、年齢と学歴不問で年中募集していた地元の工場で働く事になった。


朝の九時から夜の六時まで、ビッチリ働いた後に魔術の研究をすると言う日々が繰り返された。


そんなある日、偶々観て感化された海外のオカルト映画が、自主制作映画だった事を知りーーーー。


興味を持った愛子は、自分でも撮ってみたくなった。


そして、映画の撮り方などを調べ尽くした。


便利な時代になったもので、ビデオカメラとパソコンと編集ソフトさえあれば、クオリティーはさて置き、誰でも映画まがいのものを作る事が出来る。


愛子は、映画に必要な機材と編集ソフトをインターネットで安く購入して揃えた。


それから、僅か三日間で短編のオカルト映画が完成した!


愛子は、それをYouTubeで配信した。


すると、荒削りではあるが、基本や形に捕らわれない斬新なタッチが視聴者にウケてバズった!


そこに目を付けたオカルト映画業界では、名の知れたプロデューサーから、うちで一本撮ってみないか?


と連絡が来た。


愛子は、願ってもないチャンスに承諾した!


短編の自主制作映画を一本撮っただけで、いきなり長編映画で劇場公開デビューである。


正にジャパニーズドリーム!!!


愛子は、気負いする事なく挑んだ。


プロデューサーの大林は、愛子と初対面した時、良い意味で身震いがしたと答えている。


彼女から放たれる独特なオーラを感じて、これからのオカルト映画業界を盛り上げてくれると確信したと言う。


愛子は、その期待に見事答えた!


制作費、出演者、スタッフ、配給元など完璧なレールを敷いて貰ったとは言え、無名の監督がオリジナル作品のオカルト映画で、大ヒットを飛ばすのは至難の技なのである。


次回作の監督作品も決まり、益々オカルト映画業界の期待に拍車のかかる愛子であった。

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