第22話 新任務
さて、新装備もできたことだ。
さっそく新装備を試したいところだが、特に試す場所が無いな。
なんか暇だし、王様に次の任務でも聞こうかな。
そうして、俺とユキは玉座の間に向かった。
「王様!なにか任務は無いか?
新装備もできたことだし、任務に出掛けてみたいんだ。」
「おお、似合っておるぞ勇者様!
そうさなあ。スライム討伐をしてくれんかの。
勇者様とパンテオン様なら朝飯前じゃろうがな。」
スライム討伐か。
スライムと言えば、ゲームでもゴブリンに並ぶ最弱キャラ。
ドラゴンを相手にした俺たちにとって、確かに簡単すぎる任務だな。
まあ、任務が何もなくて暇を持て余すよかよっぽどいいか。
「わかったよ王様。
でも、スライム討伐程度の任務、他の将軍に行かせないのか?」
「それがのう・・・。
魔物の活性化でどの国も手を焼いとっての。
どの国も魔物に兵を割いておるんじゃ。
それをいいことに、手薄になったわが国の守りを見て、攻めてくる国もあるやもしれん。
じゃからの、ヴィエゴといい、できるだけ将軍たちは国の警備に当たらせたいんじゃ。
そういう事情もあってな、勇者様たちには悪いが、スライム討伐、行ってくれんか?」
そういう理由があったのか。
政治というのも大変だなあ。
王様には世話になってることだし、俺たちが一肌脱ごうじゃないの。
「わかりました。そういうことなら、ぜひ協力するよ。
な?ユキ!」
「うん!」
「北東のムイラの村周辺にスライムが大量発生していてな。
調査に行ってきてほしい。
ゴブリンの時と同じく、スライムキングが出現したと見える。
まあ、スライムキングはゴブリンキングほどではないから勇者様の手にかかれば特に問題なかろう。」
「了解!」
---
さてと、王様から任務を受けたし、ルティアーノを連れて行かないとな。
任務のことはルティアーノには事後報告だが、まあいいか。
俺たちに付いていくことがあいつの任務なんだから。
ルティアーノを探すと、彼はティアノの看病をしていた。
「おお、勇者様にパンテオン様。
お久しぶりですなあ。」
ティアノだ。
いまだに腕と足には包帯が巻かれている。
「ティアノ、調子どう?」
ユキはティアノを心配している。
まあ、自分のせいでティアノはこんな目に遭ったのだ。
心配するのも必然であろう。
「ええ、もう松葉杖があれば歩ける程度には回復しました。
私はね、現役復帰、諦めておりませんぞ!
また、勇者様と旅をできることを楽しみにリハビリをしておるのです!」
ティアノ、なんて真っすぐでポジティブなやつなんだ。
「また一緒に旅しよう!」
ユキも乗り気だ。
「で、何の用だよ、ユキ。」
ルティアーノが話を振った。
「私たち、スライム討伐に行くの。
だから、ルティアーノ、ついてきて!」
「かあー、めんどくせー。
スライムとか、お前たちだけで行けよ。
雑魚スライム討伐とか、剣聖の俺様なんかが行く必要ないね。」
ルティアーノは非常にめんどくさそうな顔をした。
まあ、気持ちはわかる。
スライムなんざ倒したところでレベルアップの見込みも無いしな・・・。
すると、ティアノの説教が始まった。
「わが愚息が申し訳ないです。
こら!ルティアーノ!
お前は勇者様にお付きするという任務があるはずだ!
勇者様やパンテオン様からは多くを学べるぞ、付いていきなさい!」
「うるさいなあ親父は。
ケガ人なんだからもっと静かにならんもんかね。」
「このバカ息子はまだまだ未熟です。
色々と迷惑をかけますが、なにとぞよろしくお願いします・・・。」
「ああ、ティアノ。俺が責任もって面倒を見るよ。」
こうして、俺たちはルティアーノを連れだした。
「しかし親父、なにが『息子はまだまだ未熟』だよ!
俺もう成人してるし、剣聖なんだが!
もう親父の強さ超えてるんだが!」
そういうとこだよ、未熟って言われるのは・・・。
ルティアーノの価値基準は「腕っぷしの強さ」だけだ。
もっと、優しさとか人望とか、いろいろな価値基準があることに早く気付くべきなのだ。
そういえば、ルティアーノも新装備だな。
装備の見た目はたいして変わらないが、少しだけ豪華になってる気がする。
「そうだ、ルティアーノ。
新装備の調子はどうだ?」
「ああ。稽古場の藁人形でしか試し切りしていないけど、確実に切れ味は増してるな!
まあ、ドラゴンに犯されそうになってまで逆鱗を入手した甲斐はギリあるかな。」
「そうかそうか。
スライム討伐でもぜひ、その技を活かしてくれ。」
こうして、俺たちはスライム討伐に出掛けるのであった。
<作者あとがき>
次回、服を溶かすスライム!
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