第18話 ドラゴンの里

俺たちはドラゴンが住む北の山に到着した。


そこにはなんと、村が形成されていた。


俺は村の入り口に来ると、武装した人間?の女性がいるではないか!


その女性が俺たちに声をかける。


「何の用だ!人間!」


え?あなたも人間でしょう?


いやいやいや、よく見たらしっぽと角が生えてる!!


ドラゴンだ!


「あ、はい。ドラゴンの逆鱗を獲りに来ました。」


ってユキ!


そんな正直に言ったら、ドラゴンさん怒っちゃうでしょ!?


「ふん、命知らずな人間だな。

 先日、ヴィエゴという人間が来たが、返り討ちに遭ったぞ?」


「知ってる。

 あなたたち、逆鱗くれない?」


ユキは純粋な瞳でお願いをする。


そんな簡単にくれないだろ。


「私たちメスのドラゴンに逆鱗は無い。

 もし私たちに協力するならば、詳細を教えてやる。」


え、なんか教えてくれるみたい。


話だけでも聞こうかしら。


「ユキ!良かったな。話、聞こうじゃないか!」


「うん!」


そうして、俺たちはドラゴンに付いていった。


里を見渡すと、不思議なことに、ドラゴンはメスしかいない・・・。


なにやらおかしい。


すると、長老の家に着き、長老を紹介された。


「こちら、長老のドラコ様だ。」


「あなた方が協力してくれる人間だね。

 あたしたちゃ、猫の手でも借りたい。

 藁にもすがる思いであんたら人間にも協力を仰ぐさね。」


俺たちは猫や藁かい。


勇者なめんなよ!


「で、何を協力するの?」


「ああ。実は、魔王の復活によって、ドラゴンも活性化してね。

 特にオスのドラゴンが強くなった。

 それで、繁殖の時期になったんじゃが、どうもオスが盛りすぎてな。

 メスを犯したい放題なのじゃよ。

 それで、オスのドラゴンを落ち着かせるには、逆鱗をはぎ取らにゃならん。

 そこで、オスから逆鱗を剝ぎ取るのを協力してほしいんじゃ。

 わしらメスは犯されちまうから手出しできん。

 他種族に頼むしかないんじゃ。」


なるほど、それでオスから逃げたメスで形成されたのが、このドラゴンの里ってワケだな。


「わ、わかった。」


ユキは了承した。


まあ、なにもドラゴンを倒すってわけじゃない。


あくまで逆鱗を剝ぎ取るだけ。


それくらいならできそうだ。


「オスのドラゴンはこの先の切り立った崖に横穴を空けて住んでおる。

 そこに向かうといい。」


こうして、俺たちはオスのドラゴンが住む崖に向かった。


---


崖に着くと、ユキはその崖を見上げた。


「わああ、穴がいっぱいあいてる。」


あの穴一つ一つにオスのドラゴンがいると思うと恐ろしいな。


ゴクリ・・・。


緊張するぜ。


すると、1匹のオスが穴から顔を出し、こっちに向かって飛んできた。


わああ、来ちゃうよ、ドラゴン。


ドシン!!!


メスのドラゴンは人間っぽい見た目なのに、オスは普通にドデカいドラゴンなんだが・・・!


「何用だ、小さきものよ。」


ドラゴンが俺たちに声をかける。


「げ、逆鱗を獲りに来た!」


またしても馬鹿正直にユキが言う。


「はっ!人間の小娘が笑わせる。

 どうせメスに頼まれてきたんだろう?

 ほらほら、獲れるものなら獲ってみい。」


すると、ドラゴンはアゴの下の逆鱗をユキにちらつかせて見せる。


ユキは自慢のパンチで、ドラゴンのアゴにアッパーをかます。


ドガっ!!!


「あぶううう!!!」


ドラゴンはこんな小娘が強烈なパンチをかましてくるとは予想だにしていなかった様子。


アッパーによって舌をかみちぎって死んだ・・・。


あれれ?勝っちゃったよ!!!


ドラゴンスレイヤー・ユキの誕生だよ!


しかし、殺しはまずかったな・・・。


長老に怒られちゃうよ。


すると、他のドラゴンたちがわらわらと顔をのぞかせる。


やべ、殺しがバレないうちに逃げるぞ!


そして、俺たちはささっと逆鱗を剥ぎ取って里に帰った。


長老に逆鱗を見せる。


「おお、あのヴィエゴにもできなかったことを本当にこの娘が!?」


長老は腰を抜かす。


「でも、長老・・・。

 間違ってドラゴンさん、殺しちゃった・・・。」


「あれま・・・。

 まあ、殺されても仕方ないことをしてきた連中じゃ。

 私も怒りはしまいよ。」


「ごめんなさい。」


「しかしね、娘さん。

 ドラゴン1匹の逆鱗を獲ってもらって、満足されちゃあ困るんだ。

 オスはまだまだいる。

 全員の逆鱗を獲って、全員を落ち着かせてほしいんじゃ。」


ええええ!!!


まあたしかに、それもそうか。


俺たちはドラゴン1匹分の逆鱗で十分なんだが、この里の人たちはそんなの知ったこっちゃない。


「おいおいマジかよ、さっきは相手が油断してたから運よく勝てたけどなあ。

 今度はそうはいかないぜ?」


「ううん!私とパンテなら勝てる!」


ユキはそう言うが、ルティアーノの言う通りだ。


まあどちらにせよ、もう一度あの崖に向かうしかあるまい。


こういう人助けだって、立派な勇者の仕事。


てか、俺たちいま、休暇中なんですけど・・・!



<作者あとがき>


次回、ドラゴンの実力!


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