第17話 ドラゴンの住処への道
かくして、俺とユキはブランブルからドラゴンの逆鱗の採集を依頼された。
ってか、俺たち今休暇中なんですけど・・・。
休暇中にドラゴン狩りに行く連中がどこにいるんだ!
とんでもないことになっちまったよ、まったく・・・。
「ドラゴン、倒すぞー!」
ユキはやる気満々だ。
たぶん、自分の格闘術を試したくて仕方ないのだろう。
でも、ドラゴンなんて勝てるのか!?
人類で勝てる者はいないらしいし・・・。
さすがに無理だろ!
とはいえ、ブランブルには一応、仮の武具はもらった。
まあ、普通の女格闘家の服って感じ。
身のこなし重視の軽装だな。
それに、メリケンサック的なやつももらった。
これで攻守ともに強くなったのは確かだ。
「メリケンサック♪メリケンサック♪」
仮の武器とはいえ、ユキは喜んではしゃいでいる。
さて、ドラゴン狩りへいざゆかん!
と、その前に、俺たちはルティアーノの存在を忘れてはいかん。
やつは俺たちと行動を共にするように言われているし、あれでも剣聖だ。
きっと役に立つだろう。
ドラゴン戦には連れていくほかあるまい。
というわけで、俺たちはルティアーノを連れに来た。
ルティアーノを探すと、彼は自室で筋トレをしていた。
さすがは将軍息子の部屋、ユキの部屋に負けず劣らず、豪華だ。
「ルティアーノ!ドラゴン退治行く!ついてきて。」
ユキがそれだけ言うと、何言ってんだお前、と言わんばかりにルティアーノはぽかーんとしている。
「おいおい、冗談だろ、ユキ。
どういう風の吹き回しだ?」
「私の装備を作るのに必要なの、ドラゴンの逆鱗。
だから、ルティアーノも来る!」
誘い方が強引だなあ、ユキさん。
「なんで俺がユキの装備集めに付き合うんだよ!
自分で勝手にやればいいだろ!」
ルティアーノは嫌がっている。
そりゃ、ドラゴンに勝てる見込みなどないから、行きたくないのも当然か。
「王様の命令で、ルティアーノは私についてくるのは絶対!
王様の命令、無視する気?」
「ぐぬぬ・・・。」
ルティアーノは言葉に詰まる。
「し、しかしなユキ。
王様が黙っちゃいないぜ?
なにせ、国の宝の勇者がみすみすドラゴンに殺されに行くのを了解するはずがない。
だろう?」
ルティアーノは、自分がドラゴン討伐に行かないで済む口実を見つけ、ほっとしている様子だ。
俺は2人の会話に口をはさむ。
「それはたしかに、ルティアーノの言う通りだな、ユキ。
王様には一言伝えて、許可をもらうべきだ。
でも、十中八九拒否されるぜ。
どうしような、ユキ。」
「うーん・・・。」
ユキも考えあぐねる。
「そうだ!隠れて行く!」
ユキが何かひらめいたかと思えば、とんでもないことを言った。
「おいおい、ユキさん。
本気かよ。」
「だってそれしか、ドラゴンのところに行く方法、ない!」
そんなどや顔で言われてもだな・・・。
「私とパンテがチカラを合わせれば、勝てる!」
そう言うと、ユキはそそくさと出立の準備を始める。
「はあ。まあ、俺たちはユキについていくことしかできない、運命共同体だ。
黙って2人でユキに協力しよう。」
俺はあくまでこの子のパンティ。
この子の決めたことに援護するのみだ。
ルティアーノだって、ユキについていくことが王の命令なんだ。
それを破れば命令違反。
「おいおいマジかよー!」
ルティアーノは嫌々付いていくこととなった。
こうして、俺たちは王様に黙ってドラゴン狩りに出掛けた。
さて、ドラゴンの住処は北の山を越えた谷間にある。
崖の絶壁に横穴を掘り、そこに住みついているそうだ。
これはブランブルから聞いた情報だ。
それだけを頼りに俺たちは北の山に向かう。
しばらく俺たちは馬車で進んだ。
「だりいよー、なんで俺様がこんな勇者のお守りをする羽目になったんだよー。」
ルティアーノは文句を垂れている。
そのたびにユキの怒りゲージはたまっていく。
すると道中、魔物のオークが出てきた。
ユキは、自分の格闘術を最初に試すのはここだ!と言わんばかりに、オークの前に躍り出る。
オークは「おーーーーん!!!」と叫んで突進してきた。
それをユキは、闘牛士が牛からよけるように華麗な横ステップでかわし、すれ違いざまに高速の突きをオークのみぞおちに決めた!
「回転式正拳突き!!!」
ドゴン!!!
オークの腹には直径20センチほどの風穴があいた。
オークはたまらず、倒れこみ、息絶えた。
「オークをワンパンかよ、やるな、ユキ!」
「えへへ。」
「しかし、今の技、なんだ!?」
俺はユキがそんな技を練習しているところを見たことが無かった。
だから驚いた。
「頭の中でシミュレーションしてたの。
パンチを回転させたら、ネジみたいに穴をあけるほどの威力になるんじゃないかって!」
なるほど驚いた。
隠れて新技の開発をしていたとは・・・。
新しい装備、メリケンサックがオークの身体をメリメリと削り、風穴を開けたのだろう。
「すごいぞ、ユキ!」
こうして、俺たちはドラゴンの住処への道を進んでいった。
<作者あとがき>
次回、ドラゴンの住処へレッツゴー!
ブクマ、評価ボタンをポチっとしていただけると大変ありがたいですm (_ _) m
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます