第9話 ゴブリンキング
俺たちはしばらく東に進んだ。
道中、ユキを犯そうと襲い掛かってくるゴブリンが多々いたが、そのたびに俺のパンティパンチやユキの木刀が火を噴いた。
こうして、俺は着実にレベルアップを重ねていった。
そして、ようやくひときわ大きなツリーハウスを見つけた。
俺たちははしごを上り、そのツリーハウスに恐る恐る入った。
すると、ホブゴブリンよりもさらにデカい、5メートルくらいはあろうか、ゴブリンがいた。
絶対こいつがゴブリンキングだ。
骨でできた玉座に鎮座している。
ゴブリンキングは、俺たちを虫けらを見るような目でちらりと見た。
野太い声で俺たちに声をかける。
「なんだ人間。」
ティアノが足をがくがくさせながら答える。
「これはこれはゴブリンキング殿。
私たちは、ゴブリン都市を調査に来たものです。
こちらは勇者ユキ様です。」
「どうも、ユキです。」
「勇者だと?
ふん、たわけ!
木刀しかもっていないではないか!」
ユキが答える。
「パンティが伝説の武具なので、ここでお見せはできません!」
「ぷっ、わっはっはっはっは。
笑わせてくれるなあ、人間。
では、お前のチカラ、見せてみよ。」
ゴブリンキングは、かかってこいと手招きをする。
くそう、バカにしやがって。
「ユキ!俺がパンティパンチをかます、いいな?」
ユキはコくりと頷く。
「パンティパンチ!!!」
俺のパンチがゴブリンキングの顔面にクリーンヒットした!
手をどけてゴブリンキングの顔を見ると、鼻血が出ている。
効いたのか・・・?
「ふっ。なかなかやるではないか!
たぎる、たぎるぞおおおおお!!」
な、なんかマズくない??
ゴブリンキングさん、やる気になっちゃった?
「魔王様の平手打ちの次に痛かったぞおおおお!!!」
え、こいつ、魔王にビンタ食らったことあんの?
って、今はそこを気にしている場合じゃない!
ゴブリンキングは戦う気満々だ。
俺たち、調査に来ただけなのに・・・。
ドシン、ドシン!
ゴブリンキングが腰かけていた玉座から立ち上がった。
周りにいた手下のホブゴブリンたちは一斉に逃げ出す。
やばい雰囲気だ、面倒なことになったな。
「あのう、ゴブリンキングさん、戦うのは無しにしません?」
俺は声を出した。
「ほう、お前が伝説の武具か。
小娘の股間にあるから見えんが、本当にしゃべる武具が存在するとはな。
魔王様から聞いてはいたが、いざ目の前にすると驚きだ。
戦わないとは、怖気づいたか? 伝説の武具よ。」
「いや、怖気づいたワケじゃない。
無駄な争いは避けたいんだ。」
「これは争いではない。
格闘という名の競技だ。
ただ、お前のチカラを全身で感じたい、それだけのことよ。」
このゴブリンキング、よほどの戦闘狂とみた。
戦いは避けられないなあ。
ユキを守り抜けるか心配だ・・・。
「では、始めるぞ!!!」
ゴブリンキングの号令で戦いが始まってしまった。
ゴブリンキングはその太い腕を振りかざし、強烈なパンチを仕掛けてきた!
俺は間一髪のところでそれを受け流す。
あまりの威力に、受け止めることはできない。
はじき返すだけで精いっぱいだ。
バゴンッ!!!
バギバギッ!!!
俺がはじいたゴブリンキングのパンチがあさっての方向に飛び、ログハウスに風穴があいた。
「貴様、よくも俺の家に穴をあけてくれたな・・・。」
いや、穴をあけたのはあんただよ!!!
とツッコミを入れたいが、そんな余裕すらない。
今度はぶっとい足で蹴りを飛ばしてきた。
ブンッ!!!
蹴りはパンチの数倍の威力。
受け流しては俺にも反動でダメージが来る。
俺は両手で地面を押し、そのばねのチカラでユキの身体を飛び跳ねさせた。
間一髪で蹴りをかわすも、蹴りの風圧だけでユキが飛ばされ、壁に背中を打ち付けてしまった。
すまない、俺が壁との間でクッションになれず・・・。
しかし、ユキは無事だった。
これも、伝説の武具を付けたことによるステータスアップのおかげだろう。
普通の少女ならば気絶しているところだった。
しかし、立ち上がる瞬間、ゴブリンキングのパンチが飛んできた!
とっさのことで、俺は直接受け止めるしかできなかった。
ゴブリンキングのパンチは俺のガードを貫通し、ユキに当たてしまった!
ドガーーーーン!!!
ユキは吐血し、倒れた。そして、気を失ってしまった。
「ユキ!しっかりしろ、ユキー!!!」
「ふん、防戦一方ではないか。
攻撃できなければ、貴様はただのカスだ。
期待外れも甚だしい。
ホブゴブリンども、その小娘は好きなようにしてしまえ!」
すると、ホブゴブリンどもがわらわらと湧いてきた。
「へへ、俺が一番に犯す!」
「待て、それは俺だーー!」
このままでは、ユキがゴブリンの性奴隷になってしまう・・・!
俺は最後のチカラを振り絞り、ホブゴブリンどもを蹴散らす。
「パンティパンチ!!!
パンティパンチ!!!
パンティパーーーーンチ!!!」
はあ、はあ。
もうだめだ、身体が言うことを聞かなくなってきた。
ごめん、ユ・・・・キ・・・・。
俺は気を失った・・・。
<作者あとがき>
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