第4話 玉座の間

さて、俺たちはパンティエッタ王国の王城に到着した。


「ささ、勇者様。

 こちらがパンティエッタ城にございます。

 これからは勇者様には、こちらでお過ごしいただきますゆえ、ご承知おきください。」


ユキは王城を見上げ、興奮している様子。


「わあー!すっごーーーい!

 本物のお城だー!!!」


しばらくティアノの案内で進むと、まずはユキの住む部屋に到着した。


「まずはこちらでお召し物をお着換えください。」


たしかに、さすがに村で着ていたボロいワンピースで王様に会うのはまずいよな。


しかし、すごく豪華な部屋だ。


キングサイズのベッドに豪華な照明、化粧棚、タンスにテーブルにチェア。


今までユキが住んでいたボロ小屋とは大違い。


「なんて豪華なお部屋なの!

 ね、パンテ!」


「ああ、そうだな。」


ユキはタンスを開けると、そこには女性用下着がたくさん入っていた。


「わあ!素敵なパンティがいっぱいだよ!」


うーん、なんだかやきもちを焼いてしまうな・・・。


「お、俺が一番だろ?

 なあユキ!?」


「そうねー。

 でも、たまには変えてみたいかなーって思ったり。」


なにーーー!


伝説のパンティを差し置いて、ほかのパンティと浮気など許せん!


「ダメだー!」


「えー、ちょっとくらい変えてみたいなあ。

 ちょっとだけよ!

 すぐにパンテに履き替えるから。」


ユキはそう言うと、俺を脱ぎ、タンスにあったパンティに履き替えた。


「うーん、ふわふわで履き心地もいいんだけど・・・。

 やっぱりパンテがいいわね!

 パンテのほうがやっぱりしっくりくる!

 改めてパンテは私の相棒だと確信できたわ!」


ふう、やっぱり俺だよな。


俺がいいに決まってるよな。


だって俺、伝説のパンティだぜ?


そうして、ユキは普通の高級パンティから俺に履き替えた。


「うん、やっぱりパンテが一番のパンティだね!」


「だろう!

 まったく疑り深いね、ユキは!」


(ユキの信頼度があがったため、レベルが1上がりました。)


お! きずなが深まった証だな、よしよし!


そうして、ユキは新しい服に着替えた。


なお、ズボンだと何か苦しいので、スカートにしてもらった。


青色を基調とした、女騎士の普段着って感じの高貴な貴族服だ。


凛とした雰囲気のユキにすごく似合っている。


コンコンっ!


ノックの音だ。


「はーい!」


ガチャっ


「ティアノにございます。

 勇者様、お着換え終わりましたかな?」


「ええ、すっごく素敵な服!

 ありがとう、ティアノ!」


「これはこれは、すごくお似合いですぞ!

 ささ、私について来てください。

 玉座の間にご案内いたしますゆえ。」


そうして、ティアノの案内で玉座の間に向かった。


すごく長い廊下だ、しかも迷路のよう・・・。


なんて広い城なんだろう。


そうして、あたりを見回しながら歩いていると、大きな扉にすごく高い天井の場所に着いた。


「こちらが玉座の間にございます。」


ティアノがそう言うと、大きな扉を開けた。


すると、奥に玉座に座った王様がいた。


ユキはすかさず王の前に向かい、首(こうべ)を垂れる。


「ふぉっふぉっふぉ。

 頭を上げてくだされ、勇者殿。

 そんなにかしこまらずとも良いですぞ。」


「は、はい。わかりました。パンティエッタ王。」


「さて、勇者様をお呼びしたのは他でもない。

 わがパンティエッタ王家は勇者様をお守りし、お導きする役目を持っておるのじゃ。

 ぜひとも、頼りにしてくだされ。」


ほう。王族が色々と世話をしてくれるのはとても助かるな。


「そ、そうなんですね!

 よろしくお願いします。」


「それで、伝説の武具殿はおられるのかな?

 見たところ、鎧でも兜でも、靴でも、剣でも、盾でもない。

 はてさて、どこにおられるのか?」


お!俺の出番かな?


「はいはーい、王様!

 俺は伝説のパンティ、パンテオンといいます。

 よろしく頼みます!」


「パ、パ、パ、・・・パンティ!?」


王様は腰を抜かして驚く。


「あー、驚くのも無理はないですね。」


パンティがそれなりに強いってのを見せてやる。


俺は、伝説のパンティの両腕を見せ、地面に腕をつき、ユキを宙に浮かせた。


「ほーら、こんなこともできるし、このパンティの腕で岩も砕けます!

 パンティだからってあなどらないように!」


俺は王様に自分をアピールした。


そばにいたティアノも援護射撃してくれる。


「王様!私はこんなに大きな岩石をその腕で砕かれるのをしかと見ました!

 このお方は間違いなく、伝説の武具様でございます!」


「ほうほう。よしわかった!

 パンテオン殿、疑ってしまって申し訳ない。許してくだされ。」


「分かってくれたなら問題ありません!」


しかし、王様はなぜ俺がしゃべれるのを知っているんだ?


「王様!伝説の武具はしゃべれるものってのは常識なの?」


「いや、わしら一族の伝承にそう書かれていたのですじゃ。

 『言葉を解する伝説の武具いでしとき、光の柱とともに、伝説の勇者、現れん』とな。」


なるほどなるほど。


俺が現れ、その俺を身に付けたユキが勇者となった。


たしかに伝承の通りだ。


王様は続ける。


「歴代の勇者様の武具は、剣や盾だったそうじゃ。

 だから、まさかパンティとは思わなんだよ、ふぉっふぉっふぉ。」


王様、ウケてる・・・。


まったく、俺を馬鹿にしやがって!


いまにぎゃふんと言わせてやるんだから!


「お、俺はこう見えて強いんだぞ!」


「分かっておるとも、パンテオン殿。

 笑ってしまってすまんわい。」


「パンテ!そんながっかりしないで。

 パンテの強さはわたしが保証する!」


うう、ユキ・・・。ありがとう。


「さて、さっそく勇者様には一つお願いがあるのじゃ。

 勇者が誕生したということは魔王も誕生したということ。

 それで魔物が活性化しておっての、近くのゴブリンの村が何やらきな臭いのじゃ。

 ゴブリンに街を襲われる事件が増えての。

 調査に行ってくれんかの?

 わしの見立てでは、数百年に一度現れると言われる、ゴブリンキングが出現しとる気がするのじゃよ。

 わしの自慢の軍隊でも太刀打ちできるか怪しい。

 なにとぞ、勇者様にお力添えいただきたい。」


「ええ。私にそんなことできるのかわからないけれど、パンテがいれば安心ね!

 王様、私、やります!」


「ふぉっふぉっふぉ。その意気ですぞ、勇者様。」


こうして、俺たちはゴブリン村の調査に出掛けることとなった。


<作者あとがき>


次回、ユキが犯される大ピンチ!?


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