第3話 勇者を守れ

ティアノ将軍が村に来た翌日のこと。


ユキは王城へ向かうための勝負下着を身に付け、準備万端の様子だった。


当然、ユキの勝負下着は俺だ。


しばらく待っていると、ティアノ将軍一行が村に迎えに来た。


「お待たせいたしました、勇者様。

 ささ、この馬車にお乗りくだされ。」


「あ、はい。」


ユキは言われるがまま馬車に乗る。


「パンティエッタ王城へ、いざしゅっぱーーーつ!!!」


ティアノが号令を出すと、ティアノ一行は進みだした。


しかし、俺がしゃべれるようになるのはいつなんだろう・・・。


はやくユキと会話したいよ。


そんなことを考えていると、馬車が急ブレーキをした。


ユキは驚く。


「ええ!何だろう?」


ユキは馬車から顔をのぞかせると、またまた驚く。


なんと、馬車の目の前には山賊がいたのだ!


「おい、ずいぶん裕福そうな馬車だな。

 王国のものか?

 積み荷を置いていきな!」


すると、山賊はユキと目が合う。


「ほう、人を運んでるってわけか。

 しかも、ずいぶんとかわいいお嬢ちゃんじゃあねえか。

 奴隷として売っぱらおうかね、ひっひっひ。」


山賊がユキに目を付けた!


山賊はこちらに走ってきてユキの手を掴む!


ティアノは集団の前方のほう。


これではティアノの助けは間に合わない・・・。


くそーーー、俺に手足があれば、この山賊を蹴散らすのに!


そう強く念じた瞬間、パンティにある2本の装飾が背中側から出てきて、バチンっバチンっと山賊を殴り飛ばした。


「なんだこいつ!

 腰のあたりから腕が2本伸びたぞ!

 化け物だあー!」


山賊はあっという間に逃げていった。


そして、遅れてティアノがやってきた。


「ご無事ですか、勇者様!」


「はい、魔法のパンティが私を助けてくれたみたいです。」


なんか、山賊を殴ろうと念じたら、パンティから腕が伸びたぞ!?


(山賊を退治し、勇者を助けたため、レベルが4上がりました。

 攻撃力が5上がりました。)


お、いつものアナウンスだ!


ん? まだアナウンスが続くぞ?


(レベル20に達したため、言語能力を習得しました。)


やった! これでしゃべれる!


「あーあーいーいー。

 えーっと、聞こえる?」


俺はとりあえず声を発してみた。


「え!なに?誰の声?」


ユキが反応した!


「俺、伝説のパンティだよ。

 レベルアップしてしゃべれるようになったんだ。」


「ええええ!!!

 魔法のパンティさん、しゃべれるの!?

 すんごーーーーーい!!!」


ユキは大はしゃぎだ。


「ああ、山賊を倒したからレベルアップしたみたい。」


「やっぱり魔法のパンティさんが私を助けてくれたのね!

 ありがとう!」


「まあ、きみは俺のパートナーだからね。」


「ってか、『俺』って言うし、声は男の人だし・・・魔法のパンティさん、男の子!?

 男の子が私のパンティ!?

 きゃーーーー!!!えっち!!!」


「仕方ないだろ!

 俺だってまさかパンティになるとは思わなかったんだから!」


「ふーん・・・、じゃあおしっことか見られてたってこと!?

 恥ずかしい///」


「まあ、仕方ないさ。

 俺たちはもう運命共同体。

 家族みたいなものさ。」


「家族同士でもおしっこは見ません!!!」


「あははは。

 それもそうだ・・・。」


すると、ティアノが口をはさむ。


「おお、伝説の武具様であられますか!

 はじめまして、パンティエッタ王国が将軍、ティアノと申します。」


「ああ。もう知ってる。昨日の話を聞いてたからね。」


「伝説の武具様がまさかパンティとは驚きですな。

 ぜひ、国王様にもお会いになってくだされ。」


「ああそうだな。この世界についていろいろ知りたいし、そうさせてもらうよ。」


「しかし、『魔法のパンティさん』だの、『伝説の武具様』だの、長ったらしいな。

 何か呼び名を考えたい。

 何か案はないか?」


ユキが答える。


「パンティだから・・・、パンティリエなんてどう?」


「うーん、なんか女の名前っぽいなあ。

 ティアノは何かないか?」


「そうですな・・・。

 パンティからもじりたいですねえ。

 ・・・・・。

 ・・・・・。

 そうだ!

 『パンテオン』なんてどうでしょう!」


すごくかっこいい響きだ。気に入った!


「よし!それいいね!採用する!

 今日から俺はパンテオンだ!

 よろしくな!」


「はい、パンテオン様!」


「私は愛称でパンテって呼ぼうかな。

 なんか、愛称で呼んだほうが相棒って感じするでしょ?」


「まあ、そうだな。好きに呼んでくれ!」


「で、パンテ。

 さっき私を助けた技はなあに?

 腕みたいのがビヨーーーーンって!」


「ああ、ユキを助けたいと強く思ったら勝手に出たんだ。」


「また出せるの?」


どうだろう?


俺は再びあの腕を念じてみた。


すると、スルスルスルっと2本の腕が、ユキの背中側の腰辺りから出てきた!


どうやら、パンティの装飾部分が出てきているらしい。


試しに、傍にあったかなり大きめの岩石をその腕で殴ってみた。


ドゴーーーーーーン!!!


岩石は砕け散った。


なんて威力だ・・・。


さすが伝説の武具。


パンティとあなどってはいけない。


「おお、さすがはパンテオン様!

 あんな大きな岩石をいともたやすく割ってしまうとは、なんとすさまじい破壊力でしょうか!」


どうやら俺、相当強いみたい。


「まあ、色々収穫もあったし、そろそろ王城へ出発しよう。

 ティアノ、出発してくれ!」


こうして、俺たち一行は王城へ向かっていった。



<作者あとがき>


次回、パンティライバル登場 & 王様の依頼!


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