第6話 蘭世の毎日

あたしの朝は蓮汰と自分のお弁当と、家族の朝食を作る事から始まる。

6時。

目覚ましの音で目が覚める。


「ふわぁぁぁ・・・」


ああ、眠たい・・・

部屋のカーテンを開け、換気をする為、窓を少し開ける。

洗面所に行き、歯を磨き、洗顔を済ますと、お弁当の準備を始める。

あれ?


「蓮汰ー、お弁当箱出したぁ?」


シーン・・・


蓮汰の部屋の前で聞いてみても返事がない。

もう。しょうがないなぁ。


食器棚を眺め、何か代用できる物がないかと探してみる。

これでいっか。

ウインナーと卵焼きを焼き、ご飯を詰める。


「お姉ちゃ〜ん。」


祐奈が目をこすりながら起きてきた。


「ゆうちゃん、おはよ。今からご飯やるからね。」


ゆうちゃんの起きてきたドアの奥に、母と新しい旦那と、2人の子供、理吏がグッスリ寝ている姿が見える。

ふざけんなよ!


「はぁ。マジムカつくわ。」

「どしたの?蘭世。」


お弁当の時間。

我慢できずに親友の沙耶に愚痴る。


「なんであたしが家の事やんなきゃいけないの?ゆうちゃんは可愛いけどさ、理吏の面倒なんか、自分達で見ろよ。バカみたいにいい年して子供作ってさ。ふざけんなよ。」

「蘭世の家・・・大変だよね。新しいお父さん、蘭世達に興味ないんでしょ?」


沙耶は水筒のお茶を一口飲む。


「お父さんじゃないから。お母さんの旦那だから。あたし達に興味どころか、理吏の事もほったらかしだよ。毎晩飲んで帰ってきてさ、なんであたし達が理吏のお風呂の手伝いしなきゃいけないわけ?早く帰ってきてアイツがやれよ。」


沙耶は、なんて声をかけたらいいのかわからず、ただ、あたしの愚痴を聞いてくれた。

あたしは止まらない。


「それに・・・・あたしと蓮汰、就職内定決まったら、寮に入れって。」

「え?マジで!?」


黙って聞いていた沙耶も驚いて声をあげた。


「それってさ・・・」

「あたしと蓮汰を追い出して、祐奈と理吏と、あの男の4人で引っ越して新しい場所で暮らすんだってさ。」

「えー!?それはない!!ひどすぎる!!」

「最悪だよ。あの母親と、あの男は。まあでも、いざとなったら、お父さんのとこに行くからいいけどね。お父さんは、あたし達の事、心配してくれてるから。」


沙耶は心配そうな顔をする。


「そうだね。まだお父さんがいるから良かったね。」


今日もお父さんがむかえに来てくれて、晩御飯はお父さんと食べる約束してるし。

蓮汰は、お母さんが心配だから帰ってご飯作るって。意外とやさしいんだよね。アイツは。


授業が終り、校門でお父さんの車を待つ。

少し待つと、黒いワゴン車が止まった。

中からお父さんが手を振る。

あたしは急いで助手席に乗り込んだ。



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