4

「どうした…食べないのか?」


外は雨足が強まってきた。

台風が近づいている。

そんな時は、抱き枕で良いが一人では寝たくはない。


「怖いのか…」


ゴーゴーと風の音が激しくなってきて、風のせいだろう、バタンバンと何かが打ち付ける音が激しくなってきた。

膝を抱えて時折頭に手を乗せ、耳を塞ぎ音を少しでも遮るが、それでもガタガタと言う音は耳に入ってくる。


「来いよ」


呼ばれた事より音が怖くて、男にしがみついた。


そのまま男にしがみついたままベッドに入り、音が過ぎるのを待つが、意識が遠退いていった。


目を覚ますと男の姿はなく、台風も通りすぎてしまったのか、静けさを保っている。


起き上がり、男が居るであろう部屋へと向かったが、そこにも男は居なかった。


朝になっても帰っては来ない。


部屋から出るなとは言われてはいなかったが、拾われてからは一人で外へは出た事がなかった。


けれど、何故か行かなくてはと…

家の玄関を開け、外へ出ると、カメラをかまえた人が沢山いて、慌ててまた家の中へと入り、しっかりと鍵をかけた。


テレビをつけ、音を小さくした。

聞こえる程度にはボリュームはあげてある。


すると、ここの場所らしき所が映し出されていて

テロップには『連続少女誘拐監禁事件の犯人逮捕』

と、出ていた。


そして、男の顔写真も…






夢を見ていたのだろうか、あの男は誘拐も監禁もしていないのだ…



ほどなくして、ここにも警察が入ってきた。

保護された私は、家を出た時よりも痩せ細っていた。




~拾われた私 ~Fin~

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る