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「どうした…食べないのか?」
外は雨足が強まってきた。
台風が近づいている。
そんな時は、抱き枕で良いが一人では寝たくはない。
「怖いのか…」
ゴーゴーと風の音が激しくなってきて、風のせいだろう、バタンバンと何かが打ち付ける音が激しくなってきた。
膝を抱えて時折頭に手を乗せ、耳を塞ぎ音を少しでも遮るが、それでもガタガタと言う音は耳に入ってくる。
「来いよ」
呼ばれた事より音が怖くて、男にしがみついた。
そのまま男にしがみついたままベッドに入り、音が過ぎるのを待つが、意識が遠退いていった。
目を覚ますと男の姿はなく、台風も通りすぎてしまったのか、静けさを保っている。
起き上がり、男が居るであろう部屋へと向かったが、そこにも男は居なかった。
朝になっても帰っては来ない。
部屋から出るなとは言われてはいなかったが、拾われてからは一人で外へは出た事がなかった。
けれど、何故か行かなくてはと…
家の玄関を開け、外へ出ると、カメラをかまえた人が沢山いて、慌ててまた家の中へと入り、しっかりと鍵をかけた。
テレビをつけ、音を小さくした。
聞こえる程度にはボリュームはあげてある。
すると、ここの場所らしき所が映し出されていて
テロップには『連続少女誘拐監禁事件の犯人逮捕』
と、出ていた。
そして、男の顔写真も…
夢を見ていたのだろうか、あの男は誘拐も監禁もしていないのだ…
ほどなくして、ここにも警察が入ってきた。
保護された私は、家を出た時よりも痩せ細っていた。
~拾われた私 ~Fin~
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