28

朝から騒いでいた優希さんは香さんの出迎えに外へは出て来ていない。


あっ…


先に部屋に戻っていると思っていた翔さんが、畑の方から歩いてくる。


えっ?


これって…

俺の視界に入っているだけで、目の前の香さんにはわかってない。

このまま先に家の中へ入ってしまえば、気が付いて歩みを止めた翔さんとは、会わずにすむんだけど、俺にそうさせるだけの言葉が出てこなくて、はやく中へ入って!


心の中で叫んでみるが俺の思いは届くことがなくて…


「香…」


声をかけたのは翔さんだった。

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