3話 逃走

ひたすら逃げた、村のことは何も考えずにただお母さんの言葉を信じて逃げた、

川を渡り、山に登って森の奥深くまで逃げた


「はぁ、はぁ、はぁ、、、、あぁぁ」


思い出すな。今はただ守られた命を自分で守りきれ!


そう言い聞かせ、再び歩み始めようとした時だった


グイッ


「え?」


何かが足に引っかかった、そして、


ヒュン、、グサッ


「あぁぁぁぁぁぁぁぁ」


矢が自分を目掛け飛んできて、それを避けることはできずに私のふくらはぎに刺さったのだ、

さらに矢が刺さった傷口がすぐに腐敗していった、ある程度の知識があった私はそれを見て瞬時に理解した


「毒、か、、」


ズキッ


「うぐっ、あぁぁぁ」


叫び声すら出ない痛みが身体に走った、

だんだん意識が遠くなる、痛みからなのか、毒による症状なのか私には知る由もなかった


私は立ち上がることができずそのまま地面に伏すように、意識が途切れてしまった


途切れる前に何やら足音がしたがどうせこの罠を仕掛けたやつか、野生の動物だろう



「…この村も制圧完了か?」

「ああ、ボスっぽいのががとてつもなく苦戦したぜ」

「…ああ、あいつか」


薄汚れた目が私を睨みつける、最初の一刺しで呼吸器官が損傷した私は、もう立ち上がることができない、呼吸しようにも血が逆流するだけだ、


それに死が近いのも悟った


「貴様r、ゴフッ」ピチャピチャ

「おう威勢がいいな」


もう言葉も出なかった、こいつらに文句を言えないこともわかり絶望した

だが今はただマオが心配だった、あの子は逃げ切れてるだろうか、逃げ切れたとして一人で生きていけるのだろうか、そんな心配が頭の中を駆け巡った時、


「いやーにしてもこの⚪︎⚪︎⚪︎の⚪︎⚪︎⚪︎はよく作り込まれてるなぁ」


…は? 


一瞬思考が止まったそりゃそうだろうこの世界の真実がそうだったなんて、なら、この既視感はまさか、


全てがバカバカしく思えた


詳しい話を聞く間もなく、私はそのまま力尽きた



(、、、あったかい、)


なぜかそんな感覚がした、

私は確か、毒矢に打たれて、それで、


そうだ森の中のはずだ


なんであったかい?

そう考えて目を覚ますと焚き火の形とその前に座る一人の人が見えた


「…あの、」


声を出すのもやっとだったがそれで十分だった

その人は私の方を向いて、


「目が覚めたかい?」


わたしは頷く


「そうか、しばらく休みな毒で身体が衰弱しきってる」


言われなくても私に起きる体力はなかった。

そしてそのままかけられた毛布に身をくるめながら眠りについた


一瞬だけ見えた彼女の首には銀色のネックレスがぶら下がっていた。




予告 第4話 再会


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