※T様の憂鬱

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高校生になってしばらくした頃、中学で一緒だった子から手紙をもらった。


俺の家はクリニックを営んでいるから住所などの類は簡単に検索できる。


まぁ、ラブレターというやつだった。


そう言えば、中3の時は同じクラスではあった。最後の席替えで隣だったのは覚えているが、地味で正直可愛いとは無縁の子だった気がする。



それくらい俺にはどうでもいい人だった。


返事を書く事などはしないつもりだ。

一様住所は記載されていたが…


「めんどくさ」


もう二度と会うこともないし、そのまま放置をした。


数カ月後また送られて来た。

同じ人だ怖くなった。

ストーカーの類か?


いや、そんなはずはない。

でも、わからない俺が気がついてないだけで…


それ以後はもう送られてくる事はなかったが…


あれから何十年たったのか、久しぶりに実家へと帰省した時中学の頃の友達と飲むことになった。


誰がどうなっただの、子供がどうのだの…


早く結婚していれば、子供が中学生という人もいるらしい。


まぁ、俺はまだ結婚すらしてはいなかったが…


「そう言えば、俺の兄貴の嫁さん安達と役員一緒だって言っててさ」


どうやらPTAと言うやつの本部に安達がいるらしい…


「て、安達の子供そんな大きいの?」


「それがよ、これ思わず写真とらせてもらったんたけど」


当時の面影はあるだろう…正直はっきりとは覚えていない。


そこに写っているのは、綺麗な女性だった。


ほんの少し複雑な心境になったのは言うまでもない。


なんだろ…

このモヤモヤ…

それは誰にも言えない胸の内であった。

T様の憂鬱〜fin〜

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