※T様の憂鬱
1
高校生になってしばらくした頃、中学で一緒だった子から手紙をもらった。
俺の家はクリニックを営んでいるから住所などの類は簡単に検索できる。
まぁ、ラブレターというやつだった。
そう言えば、中3の時は同じクラスではあった。最後の席替えで隣だったのは覚えているが、地味で正直可愛いとは無縁の子だった気がする。
それくらい俺にはどうでもいい人だった。
返事を書く事などはしないつもりだ。
一様住所は記載されていたが…
「めんどくさ」
もう二度と会うこともないし、そのまま放置をした。
数カ月後また送られて来た。
同じ人だ怖くなった。
ストーカーの類か?
いや、そんなはずはない。
でも、わからない俺が気がついてないだけで…
それ以後はもう送られてくる事はなかったが…
あれから何十年たったのか、久しぶりに実家へと帰省した時中学の頃の友達と飲むことになった。
誰がどうなっただの、子供がどうのだの…
早く結婚していれば、子供が中学生という人もいるらしい。
まぁ、俺はまだ結婚すらしてはいなかったが…
「そう言えば、俺の兄貴の嫁さん安達と役員一緒だって言っててさ」
どうやらPTAと言うやつの本部に安達がいるらしい…
「て、安達の子供そんな大きいの?」
「それがよ、これ思わず写真とらせてもらったんたけど」
当時の面影はあるだろう…正直はっきりとは覚えていない。
そこに写っているのは、綺麗な女性だった。
ほんの少し複雑な心境になったのは言うまでもない。
なんだろ…
このモヤモヤ…
それは誰にも言えない胸の内であった。
T様の憂鬱〜fin〜
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます