第89話
状況が状況で吹けなかったってのもあるけど、それはただの言い訳で。
ホイッスルを吹けば、八雲さんは来てくれる。
そして八雲さんはあたしの代わりに警察に行こうとする。
それがわかるから、吹けなかった。
"あの事件"がなんなのかあたしは知らない…。
…………八雲さん。
グーっと唇を噛む。
泣かない。
「………ハイネ」
いつもより低い声。
あたしに向けて八雲さんが今までこんな声だしたことはない。
「…ぁ"ぃ"…」
変な声がでた…。
だって何を言われるのかわかんなくて怖い…。
「すまなかった」
「……ぅ"え…?」
予想外です!!
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