第88話

皆から聞いたんだろう。


八雲さんは今日のお昼にあったことを知ってた。


でも、あたしの口から聞きたいと言われ、あたしはありのままお昼のことを話した。



八雲さんに嘘は通じないし、あたしも絶対に八雲さんに嘘はつかない。



話をしてる時も八雲さんが口を開くことはなかった。



今までに見たこともない、渋面な顔であたしとは視線も合わせてくれない。



んぐ…。

泣かない。


泣いたらダメだ。



だって、あたしには泣く資格はない。



『何かあったら吹けよ』


いつも八雲さんはそう言ってくれてたのに。



あたしはホイッスルを吹かなかった。

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