第60話

麻也の頭を撫で、話を続ける。




「11月も半ばの寒空の下、まだ幼木の桜の木の根元でハイネは寝てた」



「は?」



「あ?」



「え!?」



「あーー!?」



「11月やぞ!?ハイジ…死んでたんか…」



「「「「「死んでねぇ!!」」」」」


「お前が死ぬか?」



「なんでやっっ!!」




ハイネを勝手に殺すな。



驚愕する皆。




ああ。

まぁ。

そんな反応だよな。




俺も驚いたからな。




「まさか…」




最悪の想像をした蓮が、煙草を落とす。




それぞれの顔色が悪い。



「いや、本当にただ寝てただけだ」




俺もそう疑ったが、小さな体を出来る限り丸めて震えながら寝てた。




関わったら面倒。

そう思って、俺は立ち去ろうとした。




だが……。




寝ながら静かに泣くお前を、どうしても放っておくことが出来なかったんだ。

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