第52話

「勝手なことしやがって」



グイッと胸元の服を掴まれ上を向かされれば、憎悪のこもった目があたしを見下ろす。




この人はなんなんだろう。




八雲さんの、そして竜希さん、麻也、蓮くん、桂。




海斗さんに凛さんに花音さんに健さん、ケントさんに"黒豹"の皆。




皆と出逢って、たくさんの"愛情"と"親愛"の籠った視線を注いで貰ってきた。




だからわかる。




あたしを自分の"物"だと言う、この人の視線は、そういう感情が一切入ってはいない。



むしろ…。




「おぇ"ぇ"ぇ"ぇ"!!!!」




耐えきれず、吐いた。




優さんに向かって。




「汚ねぇっっ!!!!」




優さんは血相を変えて、あたしをベッドに突き飛ばした。




ケケケ。

ざまあみさら……せ。




口の中も、汗だくの体も全てが気持ち悪くて仕方がなかったけど。




痛みと熱さと怠さに限界だった、あたしはまた意識を失った。
















八雲さん…。

皆…。

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