第53話
拓実side
恋する女は強し―やな。
ワシは、んな場合じゃないとわかっとるも笑うてしまう。
『大好き!!』
絶体絶命の最悪だろう状況の中で、ハイジが叫んだんは"愛の言葉"。
喉が張り裂けんばかりの絶叫を上げさせらとるっちゅーのに。
"助けて"でも"痛い"でも"怖い"でもなく。
大好きな人への最強の言霊。
最初に思おた通り、ハニーに負けず劣らず豪胆な娘よ。
真木の状態をわかっとったんかっちゅーくらい、ナイスやで、ハイジ。
おかげで、さっきまで生ける屍、もしくは感情を捨てたロボットみたいだった奴が。
奴が…………
「!!!!????????」
「………見るんじゃねぇ」
真っ赤…やと!?!?
「お前…ハ!?……あ"!?」
なんで、真っ赤やねん!!
さすがの、ワシもビックリして言葉が詰まったわっっ!!
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