第27話

「無理してでも笑ってたんだろうよ。少しでもあんたらに好かれたくて…」




"黒豹"に来る前のチビ助のことはあまり知らない。



過去なんざ、どうでもいいしな。




聞いたのは、両親と死別してること。

それから親戚に預けられたが、そこであまり上手くいかなかったらしいってことぐらいだ。




来たばかりの頃。



寝てるときだけ、チビ助は泣いてた。



それを知ってるのは、俺と竜ちゃんと八雲だけ。



一度寝たら起きない、チビ助本人でさえも知らないだろう。




八雲に頭突きされ、外に放り出されても、俺らが朝チビ助の部屋に入るのは、泣いてないか確認するためってのがある。




いや、チビ助の寝顔と八雲をからかうのが楽しいってのもあるが。




もうずっと泣かなかったのに、最近一度だけ泣いたな。




"クリスマスを一人で過ごす寂しい夢を見た"と。




それは…去年のことなんだろ??




せっかく、今年は盛大にクリスマスパーティーをやって記憶を塗り替えてやろうと思ってたのによ。

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